...たといそれ以前に渡ったものがあったにしてもそれよりおよそ八十年前の(伏姫が死んだ年の)長禄(ちょうろく)の二年に房州の田舎武士の金碗大輔がドコから鉄砲を手に入れたろう...   
内田魯庵  「八犬伝談余」 
...竜神松五郎が房州沖で...   
江見水蔭  「悪因縁の怨」 
...浦賀より房州にゆく舟路は...   
大町桂月  「房州紀行」 
...房州あたりも、此頃は随分わるくなりましたからね...   
田山録弥  「談片」 
...今日までわれわれが年久しく見馴れて来た品川の海は僅(わずか)に房州通(ぼうしゅうがよい)の蒸汽船と円(まる)ッこい達磨船(だるません)を曳動(ひきうごか)す曳船の往来する外(ほか)...   
永井荷風  「日和下駄」 
...その作たる、われながら見とれるほどの出来と見ましたけれど、白雲はそれに愛惜(あいじゃく)するの暇(いとま)を与えずに、早くもここを出立するの用意を整えてしまい、「茂坊、さあ、今日は房州へ立つんだぞ」「え、房州へですか、おじさん、今日?」「そうだよ」「房州というのは、あのおじさん、鋸山(のこぎりやま)のある日本寺の、お嬢さんのいる房州なの?」「そうだとも」「あたいを、その房州へ連れて行ってくれるの、今日!」「うむ」「じゃ、あたい、久しぶりで、あのお嬢さんに会えるんだ」「会わしてやるとも」「ほんとに夢のようね、おじさん、もしかして清澄のお寺へ入れちまうんじゃない?」「そんなことがあるものか、さあ行こう」「ああ、うれしい」少年は欣然(きんぜん)として勇み立ちました...   
中里介山  「大菩薩峠」 
...それともう一箇所は房州まで……」「そいつはいけません...   
中里介山  「大菩薩峠」 
...房州に残し置いた拙者の財産を持って来て預けて置いたと...   
中里介山  「大菩薩峠」 
...上総房州あたりまでは...   
中里介山  「大菩薩峠」 
...いたづける枕もとにさま/″\の話してあるほどに房州の那古にありける弟おもひもかけず來り合せたるにくさ/″\のことをききて烏賊釣に夜船漕ぐちふ安房の海はいまだ見ねども目にしみえくも十四日...   
長塚節  「長塚節歌集 上」 
...八〜一〇月、房州、甲斐、諏訪、木曽を経て、関西に旅する...   
長塚節  「長塚節句集」 
...或時僕が房州に行った時の紀行文を漢文で書いて其中に下らない詩などを入れて置いた...   
夏目漱石  「正岡子規」 
...小六(ころく)が房州(ばうしう)から歸(かへ)つて...   
夏目漱石  「門」 
...一人は房州の者でお照...   
野村胡堂  「銭形平次捕物控」 
...必死の覚悟で房州までさがしに行った...   
久生十蘭  「顎十郎捕物帳」 
...「ゲーが治つたら房州へ行く?」彼がさう云つたことがあるのを思ひ出して彼女は...   
牧野信一  「秋晴れの日」 
...例えば紀州の那智山とか房州の清澄山とかにそれがあるというのもまたこの類にすぎない...   
牧野富太郎  「植物一日一題」 
...僕の妻君なぞは珊瑚(さんご)の玉と明石玉(あかしだま)とを鑑別する事は大層お上手だが魚屋の持って来た鯛(たい)は房州鯛(ぼうしゅうだい)か三浦鯛か新しいか古いかという事はよく御存知ない...   
村井弦斎  「食道楽」 
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