...自分の書が田舎の房州路でさへ旅籠銭の代りになるといふ事を知つたのだから...
薄田泣菫 「茶話」
...山葵(わさび)1・8(夕)洋画家の岡野栄氏が学習院の同僚松本愛重博士などと一緒に房州に往つたことがあつた...
薄田泣菫 「茶話」
...房州あたりの漁師まちの感じである...
太宰治 「佐渡」
...房州通いの船でも沈んだんじゃないでしょうか」「或いはそうかも知れん」遠見の番所の下から...
中里介山 「大菩薩峠」
...殿様には房州で何か...
中里介山 「大菩薩峠」
...近々(ちかぢか)に房州へ帰らなければならぬ...
中里介山 「大菩薩峠」
...久しく房州にいるとはいえ...
中里介山 「大菩薩峠」
...「え、間違いありません、あれが上総、房州です、ほら、ごらんなさい、あの高いところが、あれが鋸山(のこぎりやま)でござんしょう、そうして、あれが勝浦、洲崎(すのさき)……間違いございません」政どんなるものが、一桁ちがいの親方の裏書をいいことにして、自説の誤りなきことを指で保証すると、お角も納得(なっとく)して、「そうそう、あの辺が洲崎に違いない、洲崎はいやなところだねえ」と、若いのが指さした岬の突端あたりに、遠く眼を注いでいると、「親方が命拾いをなさったというのは、あれでござんすか、いやに波の穏かな、そのくせ、舟や人をさらって、いいようにおもちゃにするという、ふざけた海はあの辺でござんすか」「ほんとに、いやな海だよ、だけれどもねえ……いやな海には違いないけれどもねえ」いやな海には違いないけれども、どうしたものか、さいぜんから、そのいやな海の方面に注いだ眼をいっこうはなさないで、「いやな海は、いやな海だけれども、わたしにとっては、ずいぶん思い出がないでもないのさ」「そうでござんしょうとも」「ねえ、政どん」「はい」「お前、どう思ってるの」「何をでございます」「あの、ほら、東海道の三島の宿から下座(げざ)へ入った、お君っていう子ね」「ええ、よく存じておりますよ……きれいな子も多いが、君ちゃんは品が違いましたよ...
中里介山 「大菩薩峠」
...お絹は、その七兵衛の稼ぎための粕によって、当座の自分たちの生活に潤いがついたことによって、はしゃぎ出し、今日も主膳に向って、こんなことを言いました、「あなた、築地(つきじ)へ異人館が出来たそうですから、見に行きましょうよ」「うむ……」「たいしたものですってね、あの異人館の上へ登ると、江戸中はみんな眼の下に見えて、諸大名のお邸なんぞは、みんな平べったくなって、地面へ這(は)っているようにしか見えないんですって」「うむ……毛唐(けとう)めは、なかなか大仕事をやりやがる」「異人は、何でもすることが大きいのね」「うむ……あいつらの船を見ただけでもわかる、いまいましい奴等だ」「そうしてまた、いちばん高いところへ登ると、上総、房州から、富士でも、足柄でも、目通りに見えるんですとさ」「話ほどでもあるまいがな」「話より大したものですとさ、本館が鉄砲洲河岸(てっぽうずがし)へいっぱいにひろがって、五階とか六階とかになっているその上に、素敵な見晴し台があるんだそうですから」「うむ」「それに、その見晴し台には、舶来の正銘に千里見透しという遠眼鏡が備えてあるから、それで見ると、支那も、亜米利加(アメリカ)も一目ですとさ」「話百分にも、千分にも聞いているがいい」「聞いてばかりいても、つまりませんから、見てやりましょうよ、ちょうど、天神下の中村様から伝手(つて)があって、紹介してやるから、見物に行ってこいと言われました」「うむ、中村が……見てこいと言ったか」「ええ、あの方、異人の大将にごく心易(こころやす)い方があるんですって...
中里介山 「大菩薩峠」
...そつちのがにや房州砂(ばうしうずな)交(まじ)つてんだから」お品(しな)はいつた...
長塚節 「土」
...房州那古の濱より鷹の島に遊ぶ鮑とる鷹の島曲をゆきしかば手折りて來たる濱木綿の花潮滿つと波打つ磯の蕁麻(いらくさ)の茂きがなかにさける濱木綿はまゆふは花のおもしろ夕されば折りもて來れど開く其花卅一日...
長塚節 「長塚節歌集 中」
...「一年前に房州へ歸つて...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...房州まで行つて本當のところを突き止めて歸つたから...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...房州へ里にやられて...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...房州から呼びました...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...此の間に四日ばかり南房州のほうを廻って来た...
山本周五郎 「青べか日記」
...神子上典膳は、そんなふうな生い立ちを経て、房州の一海辺に、いつか二十歳をかぞえる若者になっていた...
吉川英治 「剣の四君子」
...前面一帯は房州半島で...
若山牧水 「岬の端」
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