...婆やさんは雨戸(あまど)の残りを戸袋から繰(く)り出すし...
海野十三 「鞄らしくない鞄」
...それに戸毎の戸袋には意匠がほどこしてあるのである...
小穴隆一 「又三郎の学校」
...あゝ、そう思えば、あの戸袋の下の、壁際にある秋海棠(しゅうかいどう)も、あの時持って来たのであった...
近松秋江 「別れたる妻に送る手紙」
...兵馬は戸袋の隅に身をもたせかけて窺(うかが)いました...
中里介山 「大菩薩峠」
...小の側には胡瓜が五六本轉がつて居るので一本剥いて見たくなつたから無心をすると娘は小の手をやめて戸袋の蔭から柄の短い錆びた鉈を出してくれた...
長塚節 「鉛筆日抄」
...僕の枕元が戸袋であつたから假令まだ眠つて居た時でもがら/\と戸があくと屹度眼があいた...
長塚節 「開業醫」
...戸袋を五尺離れて...
夏目漱石 「虞美人草」
...戸袋(とぶくろ)に立(た)て懸(か)けた張(は)り立(た)ての障子(しやうじ)を眺(なが)めた...
夏目漱石 「門」
...戸袋のなかか」「いいえ」「夜具にくるんで戸棚へしまったか」「いいえ」東風君と寒月君はヴァイオリンの隠(かく)れ家(が)についてかくのごとく問答をしているうちに...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...戸袋の隠(かげ)から...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...戸袋の蔭じゃあるまいな」「主人が見えないんで...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...戸袋の蔭を念入りに調べましたが...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...恐らく二階の戸袋に矢文を射込むために...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...それを鉢からおろして戸袋の前の日当りのよいところにうつし...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...雨戸も戸袋もまだ新らしく...
山本周五郎 「赤ひげ診療譚」
...戸袋(とぶくろ)に手を掛けて柿(かき)の樹を見上げた途端(はずみ)に蝉は逃げた...
與謝野寛 「蓬生」
...「何ですか、お父っさん」お登利が、後ろに立つと、「何でもいい、あッちへ行ってろ!」と、叱りとばして、今度は、引き出した戸を、二枚とも外して、戸袋の奥へ、手を伸ばしたり、覗き込んだりした...
吉川英治 「雲霧閻魔帳」
...戸袋の裾(すそ)から床下へ這った...
吉川英治 「鳴門秘帖」
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