...更に人をして其別離の情に殉ぜしむる所以の對象が殉死者の私情我慾と相渉る事少ければ少ない程殉死者の愛情は少くとも一層珍貴となり...
阿部次郎 「三太郎の日記 第一」
...徒らに我慾の姿に憧憬(あこが)れて...
石川三四郎 「土民生活」
...然るに世の多くの人々が、此美しい野をも山をも棄てゝ、宛(さな)がら「飛んで火に入る夏の虫」の如く、喧騒、雑踏、我慾、争乱の都会に走り来たるのは何故であらうか...
石川三四郎 「吾等の使命」
...我慾の強いものだと仰しゃるかも知れませんが...
オイレンベルク Herbert Eulenberg 森鴎外訳 「女の決闘」
...ただ銘々の我慾の節制と相互の人間愛によってのみ理想の社会に到達する事が出来るというのであるらしい...
寺田寅彦 「アインシュタイン」
...実は人間が自制心を失って我慾に征服されたです...
中里介山 「大菩薩峠」
...もつと我執をもて! 我慾を!排他的(エクスクルーシヴリイ)に一つの事に迷ひ込むことが唯一の救ひだ...
中島敦 「かめれおん日記」
...我慾なる狭隘な原則は存在せず...
トマス・ロバト・マルサス Thomas Robert Malthus 吉田秀夫訳 「人口論」
...我慾を張らんとし...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...おおむね我利我慾の徒たるは...
南方熊楠 「神社合祀に関する意見」
...はや彼輩の非義我慾に感染すべきを想わざるは無念至極なり...
南方熊楠 「神社合祀に関する意見」
...我慾では無い...
三好十郎 「好日」
...女は我慾を張り通して...
森鴎外 「蛇」
...我慾あるのみな鬼畜に...
吉川英治 「三国志」
...ただ功名我慾の首狩りのような戦に...
吉川英治 「私本太平記」
...――私心我慾、小功の争いなど、穢(きたな)き戦(いくさ)すな...
吉川英治 「新書太閤記」
...また一切の我慾と他慾を――世の吏事に対してすら...
吉川英治 「宮本武蔵」
...要するに差配の爺さんの我慾と狡猾とに我等は追はれたのであつた...
若山牧水 「樹木とその葉」
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