...お互の我ままをせぬということをその根本精神とするものである...
石原莞爾 「新日本の進路」
...兵隊が我ままをする...
梅崎春生 「桜島」
...あの我まま娘と仲のよくなかったことは確だし...
江戸川乱歩 「一寸法師」
...我まま一杯に暮らして来た...
江戸川乱歩 「吸血鬼」
...美耶子がいなくなったんです」「美耶子さんはどのお部屋にねていられたのですか? 重体と云われるからには看護婦もついていたんでしょうね?」「看護婦もあれの我ままに呆れて...
大倉※[#「火+華」、第3水準1-87-62]子 「和製椿姫」
...「そうですね」「私の我ままをとおさしてくださいましよ」女の声は蝋燭(ろうそく)の燈のめいって往くようなとろとろした柔かな気もちになって聞えて来た...
田中貢太郎 「水郷異聞」
...医者は例の安田が来るのでかう素人(しろうと)まかせでは我ままばかりつのつて宜く有るまいと思はれる...
樋口一葉 「うつせみ」
...さのみは愛想の嬉しがらせを言ふやうにもなく我まま至極の身の振舞...
樋口一葉 「にごりえ」
...折から下坐敷より杯盤を運びきし女の何やらお力に耳打してともかくも下までお出(いで)よといふ、いや行きたくないからよしておくれ、今夜はお客が大変に酔ひましたからお目にかかつたとてお話しも出来ませぬと断つておくれ、ああ困つた人だねと眉(まゆ)を寄せるに、お前それでも宜(い)いのかへ、はあ宜いのさとて膝(ひざ)の上で撥(ばち)を弄(もてあそ)べば、女は不思議さうに立つてゆくを客は聞すまして笑ひながら御遠慮には及ばない、逢(あ)つて来たら宜からう、何もそんなに体裁には及ばぬではないか、可愛い人を素戻(すもど)しもひどからう、追ひかけて逢ふが宜い、何なら此処へでも呼び給へ、片隅へ寄つて話しの邪魔はすまいからといふに、串談(じようだん)はぬきにして結城さん貴君に隠くしたとて仕方がないから申(まをし)ますが町内で少しは巾(はば)もあつた蒲団やの源七といふ人、久しい馴染(なじみ)でござんしたけれど今は見るかげもなく貧乏して八百屋の裏の小さな家(うち)にまいまいつぶろの様になつていまする、女房(にようぼ)もあり子供もあり、私がやうな者に逢ひに来る歳(とし)ではなけれど、縁があるか未(いま)だに折ふし何のかのといつて、今も下坐敷へ来たのでござんせう、何も今さら突出すといふ訳ではないけれど逢つては色々面倒な事もあり、寄らず障(さわ)らず帰した方が好いのでござんす、恨まれるは覚悟の前、鬼だとも蛇だとも思ふがようござりますとて、撥を畳に少し延びあがりて表を見おろせば、何と姿が見えるかと嬲(なぶ)る、ああもう帰つたと見えますとて茫然(ぼん)としてゐるに、持病といふのはそれかと切込まれて、まあそんな処でござんせう、お医者様でも草津の湯でもと薄淋(うすさび)しく笑つてゐるに、御本尊を拝みたいな俳優(やくしや)で行つたら誰れの処だといへば、見たら吃驚(びつくり)でござりませう色の黒い背の高い不動さまの名代といふ、では心意気かと問はれて、こんな店で身上(しんしやう)はたくほどの人、人の好(い)いばかり取得とては皆無でござんす、面白くも可笑(をか)しくも何ともない人といふに、それにお前はどうして逆上(のぼ)せた、これは聞き処と客は起かへる、大方逆上性(のぼせせう)なのでござんせう、貴君の事をもこの頃は夢に見ない夜(よ)はござんせぬ、奥様のお出来なされた処を見たり、ぴつたりと御出のとまつた処を見たり、まだまだ一層(もつと)かなしい夢を見て枕紙(まくらがみ)がびつしよりに成つた事もござんす、高ちやんなぞは夜る寐(ね)るからとても枕を取るよりはやく鼾(いびき)の声たかく、宜(い)い心持らしいがどんなに浦山(うらやま)しうござんせう、私はどんな疲れた時でも床へ這入(はい)ると目が冴(さ)へてそれはそれは色々の事を思ひます、貴君は私に思ふ事があるだらうと察してゐて下さるから嬉しいけれど、よもや私が何をおもふかそれこそはお分りに成りますまい、考へたとて仕方がない故(ゆゑ)人前ばかりの大陽気、菊の井のお力は行(ゆき)ぬけの締りなしだ、苦労といふ事はしるまいと言ふお客様もござります、ほんに因果とでもいふものか私が身位かなしい者はあるまいと思ひますとて潜然(さめざめ)とするに、珍らしい事陰気のはなしを聞かせられる、慰めたいにも本末(もとすゑ)をしらぬから方(はう)がつかぬ、夢に見てくれるほど実(じつ)があらば奥様にしてくれろ位いひそうな物だに根つからお声がかりも無いはどういふ物だ、古風に出るが袖(そで)ふり合ふもさ、こんな商売を嫌(いや)だと思ふなら遠慮なく打明けばなしを為(す)るが宜い、僕は又お前のやうな気では寧(いつそ)気楽だとかいふ考へで浮いて渡る事かと思つたに、それでは何か理屈があつて止(や)むを得ずといふ次第か、苦しからずは承りたい物だといふに、貴君には聞いて頂かうとこの間から思ひました、だけれども今夜はいけませぬ、何故々々(なぜなぜ)、何故でもいけませぬ、私が我まま故、申(まをす)まいと思ふ時はどうしても嫌やでござんすとて、ついと立つて椽(えん)がはへ出(いづ)るに、雲なき空の月かげ涼しく、見おろす町にからころと駒下駄(こまげた)の音さして行(ゆき)かふ人のかげ分明(あきらか)なり、結城さんと呼ぶに、何だとて傍(そば)へゆけば、まあ此処へお座りなさいと手を取りて、あの水菓子屋で桃を買ふ子がござんしよ、可愛らしき四つばかりの、彼子(あれ)が先刻(さつき)の人のでござんす、あの小さな子心(こごころ)にもよくよく憎くいと思ふと見えて私の事をば鬼々といひまする、まあそんな悪者に見えまするかとて、空を見あげてホツと息をつくさま、堪(こら)へかねたる様子は五音(いん)の調子にあらはれぬ...
樋口一葉 「にごりえ」
...たいへんに我ままです...
久生十蘭 「キャラコさん」
...我ままついでに此の席を...
三上於兎吉 「艶容万年若衆」
...――年をとりますと不相応な我ままが出まして...
宮本百合子 「伊太利亜の古陶」
...もとはそれでもそうとうに暮して居たんだがきりょうのぞみでもらった後妻が我ままでさんざん金をまいたあげくにさとに逃げて行ったんだものだからやけ半分でよけいにひどくなったんだよ」とここまでおっしゃって一寸煙草を一服なさる...
宮本百合子 「同じ娘でも」
...行動では我ままをしてもいいのだ...
宮本百合子 「「結婚の生態」」
...子供の時から愛され 又我も愛し然し 我ままで...
宮本百合子 「五月の空」
...今から直ぐに出発したいという我ままな願いも...
夢野久作 「少女地獄」
...不機嫌なときの参右衛門ほど露骨に不満を泛べる我ままな顔は少いであろう...
横光利一 「夜の靴」
...こんなに我ままにならなかったと思うわ...
横光利一 「夜の靴」
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