...懐しい気もちにも違ひない...
芥川龍之介 「芭蕉雑記」
...しかし暮れた山から陰気な谷をひかえて見えるあかりは懐しいよりも...
板倉勝宣 「山と雪の日記」
...あの懐しい紙風船が山と積まれているのだ...
海野十三 「柿色の紙風船」
...懐しい想い出多い深夜のビル街を散歩しているようでもあった...
海野十三 「深夜の市長」
...そしてその土地こそ私の懐しい生れ故郷なのよ」「ちょっと...
江戸川乱歩 「孤島の鬼」
...彼は懐しい女房の姿に接することができると云う喜悦(よろこび)と好奇心で一ぱいになっていた...
田中貢太郎 「立山の亡者宿」
...永久に去ろうとする悲しいまた懐しい家庭で過す最後の日々の苦(にが)い憂愁を...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...亡き父亡き母の事を思出す瞬間だけ老人はおのれの年齢を忘れて俄に子供になったような何ともいえぬ懐しい心になる...
永井荷風 「春雨の夜」
...すべてこんな花でもこの峡の中では懐しい花なのである...
中村憲吉 「備後より」
...三四郎の読者にもまた懐しいものであろうと思われるので...
中谷宇吉郎 「「光線の圧力」の話」
...やはりほんとうは懐しいものは一つだってないのだ...
原口統三 「二十歳のエチュード」
...いっそ大川へ浴衣がけで飛び込んだ江戸の昔が懐しいや...
正岡容 「圓朝花火」
...今度は国芳の家のおもいで懐しい無数の絵の具皿で充満された...
正岡容 「小説 圓朝」
...楽しい懐しい回顧も少なくない...
正宗白鳥 「幼少の思ひ出」
...その懐しい声を聞いて居たのだ...
宮本百合子 「声」
...あの懐しい懐しい物語をおぼえていらしたこと...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...梶は応接室である懐しい明るさに満たされた気持で...
横光利一 「微笑」
...日本人を見れば懐しいと夫人は語られた...
與謝野寛、與謝野晶子 「巴里より」
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