...僕は慇懃に袖を引いて再逢(さいほう)の期を問ひはせん...
石川啄木 「雲は天才である」
...』長野が牛の様な身体を殷懃(いんぎん)に運んで机の前に出て...
石川啄木 「病院の窓」
...どことなくこの少年に対して慇懃(いんぎん)を極めているところから推して...
橘外男 「逗子物語」
...紳士は慇懃(いんぎん)に礼を述べて...
谷崎潤一郎 「細雪」
...間もなく神原直造は一種段取りのついた慇懃(いんぎん)な荘重さともいふべき様子でゆつくりと来客の居並んだ前へ進み出て挨拶した...
田畑修一郎 「医師高間房一氏」
...家で彼はある未亡人と慇懃を結ぶことになり...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「決闘」
...見ているとこの外国人の一団はこの日本の作曲者を取り巻いてきわめて慇懃(いんぎん)な充分な敬意を表した態度で話しかけている...
寺田寅彦 「試験管」
...そして慇懃な身振りをするだろう...
豊島与志雄 「新たな世界主義」
...彼女はその像を慇懃(いんぎん)に人に見せていたが...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...そうして何の目的で対岸(あちら)へお渡りになるのですか」駒井から慇懃に尋ねられた六尺豊かの壮漢は...
中里介山 「大菩薩峠」
...慇懃(いんぎん)に小腰を屈めたのは...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...熱烈で慇懃で聡明で執拗で冷酷で...
久生十蘭 「キャラコさん」
...令孃とでも思つたものか慇懃(いんぎん)にやつて來た...
ブロンテイ 十一谷義三郎訳 「ジエィン・エア」
...慇懃(いんぎん)そうに坐って...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...代りに出迎えた岡野という同心の態度も慇懃(いんぎん)であった...
山本周五郎 「赤ひげ診療譚」
...「葡萄牙(ポルトガル)と申す国の珍らしい酒が手にはいりましたので」と甲斐は慇懃(いんぎん)に答えた...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...慇懃(いんぎん)なあいさつをした...
吉川英治 「三国志」
...慇懃(いんぎん)...
吉川英治 「平の将門」
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