...じっとひとりで胸の中に湛(たた)えているような性情(せいじょう)にある憐れみさえを感じているのだ...
有島武郎 「親子」
...二人が一緒になって欲しいと、私が付けてしまった傷を癒やして欲しいと願っていることをどうやってアランとテリーザに表明したらいい?悲しみ、憐れみつつ、その夜と次の日いっぱい二人のそばにいた...
O. H. ダンバー O. H. Dunbar The Creative CAT 訳 「感覚の殻」
...いかにキリスト教の感化は広大無辺なるにせよ、いかに仏法の功徳はたくさんなるにせよ、かのキリストの愛も、釈迦の憐れみも、もし自家の利益と他の利益と併立・併進・併行せざる限りは、火中に油を投ずるがごとく、かえってますます炎々の勢焔(せいえん)を加うるに過ぎざるべし...
徳富蘇峰 「将来の日本」
...強い憐れみの念に胸の底までかきむしられ...
ユゴー・ヴィクトル Hugo Victor 豊島与志雄訳 「死刑囚最後の日」
...軽侮し憐れみながらも...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...何となく子供の痛みを憐れみ...
福沢諭吉 「家庭習慣の教えを論ず」
...もしそれ程その男に憐れみを掛けてやりたいのであれば...
藤野古白 藤井英男訳 「人柱築島由来」
...下を憐れみくださるお志に差し上げまする言葉などこの上ございません...
藤野古白 藤井英男訳 「人柱築島由来」
...貧乏な人達を憐れみもしなければ...
ナサニエル・ホーソン Nathaniel Hawthorne 三宅幾三郎訳 「ワンダ・ブック――少年・少女のために――」
...さまよへる己れの姿に憐れみを強ひられる嘆きであつた...
牧野信一 「熱い風」
...無性に孫を憐れみ増長させた...
牧野信一 「淡雪」
...まるで憐れみでも乞ふかのやうに疲れきつた眼をあげて...
牧野信一 「海路」
...憐れみを乞ふのか判断もつかぬが...
牧野信一 「鬼涙村」
...早くも友人たちに憐れみの情をもよおさせる...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...小学校の教員が児童を諭(さと)すような憐れみ深い...
夢野久作 「暗黒公使」
...憐れみを感ずるらしいが...
吉川英治 「私本太平記」
...憐れみ合うかのごとく...
吉川英治 「新書太閤記」
...しかし作者としての漱石は作の主人公やその細君を一歩上から憐れみながら...
和辻哲郎 「漱石の人物」
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