...憎み且つ恥づるやうな容子に変つたのである...
テオフィル・ゴーチエ Theophile Gautier 芥川龍之介訳 「クラリモンド」
...憎みても余りある怪々賊であります」「なるほど...
海野十三 「すり替え怪画」
...拍手の喧噪を憎みたくなって来るのです...
太宰治 「惜別」
...何をか彼れの大醇と謂ふや、惡を憎み、冷血を忌むこと人に過ぎ、之れを攻撃するに於て、一歩も借さゞるの熱誠是れなり何をか彼れの美質と謂ふや、常に弱者の味方となりて、驕慢なるもの、權力あるものに抵抗するの侠骨是れなり、彼れが故後藤伯と事毎に衝突したりしも此れが爲めにして、伯曾て彼れの強頂を患へ、切りに辭を卑うして彼を招がむとしたるも、彼は啻に伯に屈致せざりしのみならず、益々伯の失徳を追窮して毫も憚る所なかりき余は彼れが果して後藤伯の人物を正解し得たりしや否やを知らず又彼れの後藤攻撃論は、果して精確なる事實に根據したりしや否を知ること能はずされど彼れの眼中に映じたる後藤伯は、老獪にして野心深く、私利私福を貪りて正義の觀念なき奸雄なりしに似たり則ち彼は後藤伯を認めて奸雄の偶像と認めたるが故に、之れを攻撃したるのみ...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...互いに憎み互いに殺しあって喜んでいた此の大罪悪を終結し...
永井隆 「長崎の鐘」
...農夫の一尺祝いを憎みかつあざけるのである...
永井隆 「ロザリオの鎖」
...それだからといつて憎み排斥しきる事の出来ぬ何かしら尊い威力を彼等の中に彼は感じない訳には行かなくなつた...
長與善郎 「青銅の基督」
...彼女は私を憎みつゞけた...
ブロンテイ 十一谷義三郎訳 「ジエィン・エア」
...愛も憎みも一つに解け合ふ...
三木清 「人生論ノート」
...習慣的に永続する憎みのみが憎みと考えられるほどである...
三木清 「人生論ノート」
...自分は憤(いきどほり)に堪へない心持で、その車力を憎み、同時に女の身の上を氣づかつたが、子供心にも女の身は無事だつたと認めて、多少は安心した...
水上瀧太郎 「貝殼追放」
...左大臣家にいる葵(あおい)夫人(この人のことを主(おも)にして書かれた巻の名を用いて書く)はこんなふうに源氏の心が幾つにも分かれているのを憎みながらも...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...わたしは決してわたしの思想に反する思想を憎みはしない...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...支那の横暴を憎み...
夢野久作 「近世快人伝」
...ひたすら孔明の智を憎み...
吉川英治 「三国志」
...ただおん身あるがためと憎み...
吉川英治 「親鸞」
...憎みながらそれには一目(いちもく)おいておりますので」「だまれ」国時は...
吉川英治 「親鸞」
...その旗頭の地位に立つに及び小膽者の自分は飜然(ほんぜん)として彼を忌み憎み...
若山牧水 「古い村」
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