...太都夫とて決して憎い人ではない...
伊藤左千夫 「古代之少女」
...凡(すべ)てを為(し)やうとするのが寧(むし)ろ憎い感じを起させたらしい...
伊藤野枝 「監獄挿話 面会人控所」
...合点(がてん)がゆかれましたか」曽我貞一が憎いほど落付いた態度で云った...
海野十三 「西湖の屍人」
...ぐったりとなった彼女を、彼の腕の中に見たが、少しも可哀想だとは思わなかった、自分の心を裏切った女! 彼は憤りの眼で美しい死顔を眺めた、百合子も憎いが、重ね重ね自分を欺いた初子は一層憎かった...
大倉※[#「火+華」、第3水準1-87-62]子 「青い風呂敷包み」
...口惜しいのか憎いのか腹が立つのか情けないのか...
橘外男 「陰獣トリステサ」
...実に心憎い程の切れ味を有った叙述なのである...
戸坂潤 「読書法」
...憎いだけに猶更愛している...
豊島与志雄 「反抗」
...長吉は劇中の人物をば憎いほどに羨(うらや)んだ...
永井荷風 「すみだ川」
...なおその女が憎いとは兵馬には思えないで...
中里介山 「大菩薩峠」
...それほど憎い内匠を...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...言ひ憎いことがあつても...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...この憎い憎い大軍の上陸を防ぐ者は...
平田晋策 「昭和遊撃隊」
...憎いのは、あの成吉思汗(ジンギスカン)です...
林不忘 「若き日の成吉思汗」
...おきえが憎いよりはただ訳もなく迂闊なもの云いをした自分が忌々しく肚立たしかった...
矢田津世子 「父」
...T「憎いのは此村大吉とか仰しゃる御武家様……」弱い者が強い奴への果敢(はか)ない反抗です...
山中貞雄 「中村仲蔵」
...ワンピースを着せて変装の女給に……活動のサキソフォン吹きに……タキシードを着せて芝居のボックスに……どれもこれも憎いほどよく似合った...
夢野久作 「怪青年モセイ」
...わが兄を殺した憎い奴...
吉川英治 「三国志」
...汚(むさ)い爺(じじ)を相手にする遊戯(あそ)びではない」「憎いことを...
吉川英治 「宮本武蔵」
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