...どこかやり場のない退屈の結果といった緩漫な憂鬱さが感じられた...
田畑修一郎 「石ころ路」
...憂鬱さうに氣むつかしげにあたりを見て額に一杯の皺をよせてゐる...
田畑修一郎 「南方」
...彼がI―子の家で感ずるより以上の憂鬱さを感じた...
徳田秋聲 「草いきれ」
...答案調べの憂鬱さから救われた気がした...
豊島与志雄 「在学理由」
...そうした一種の諦めに似た憂鬱さに陥ってるところに...
豊島与志雄 「文学以前」
...憂鬱さうねえ」と女給が云ふ...
中原中也 「心理的と個性的」
...聊か憂鬱さうです...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...自分と一緒になつて笑はうともしない野村の憂鬱さうな姿に...
北條民雄 「青い焔」
...」辻は憂鬱さうな小さい声でぽつりぽつりと答へ...
北條民雄 「道化芝居」
...憂鬱さうな顔をして...
牧野信一 「好色夢」
...彼は別段母親に限つて特に憂鬱さうな顔を示す筈もなかつたが...
牧野信一 「裸虫抄」
...その気分の憂鬱さは...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「道化者」
...それは永年自分達夫婦が、金銭の奴隷として屈従しつくして来た不愉快さ、憂鬱さ、又は年老(としお)いてタヨリになる児(こ)を持ち得ない物淋しさ、情なさ、自烈度(じれった)さを、たまらない嫉妬心と一緒に飽く事なく新しい犠牲……若い、美しい一知に吹っかけて、どこまで行っても張合いのない……同時に世間へ持出しても絶対に通用しない自分達の誇りを満足させ、気を晴らそうとしているに相違ないのであった...
夢野久作 「巡査辞職」
...うんとも声の出ない憂鬱さが腰かけている椅子の下から這い上って来る...
横光利一 「欧洲紀行」
...両家の今日の憂鬱さはひとしおふかい...
横光利一 「夜の靴」
...一抹の憂鬱さを沁み込ませて来るのだった...
横光利一 「旅愁」
...とやこうと気がねを組んで考える自分の憂鬱さが...
横光利一 「旅愁」
...どうしようもない憂鬱さだろう...
吉川英治 「随筆 私本太平記」
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