...たとい人に見らるるの憂いがないにせよ...
伊藤左千夫 「水害雑録」
...単なる動作や進退の妙というだけのものではなく、衣裳の古雅荘厳さや、肉声、器声の音律や、歴史、伝説、追憶、回想、そういうものが舞う人の妙技と合致して成立つものですが、殊にこの能楽というものは、泣く、笑う、歓喜する、憂い、歎ずる、すべてのことが決して露骨でなく、典雅なうちに沈んだ光沢があり、それが溢れずに緊張するというところに、思い深い、奥床しい感激があるのです...
上村松園 「無表情の表情」
...憂いがやる気に取って代わったようだ...
アーサー・コナン・ドイル Arthur Conan Doyle 大久保ゆう訳 「緋のエチュード」
...そしてクリストフは多少憂いの気持でながめた……...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...袋を順次に廻せば苦吟家に停滞される憂いがあるから...
内藤鳴雪 「鳴雪自叙伝」
...憂いに沈んでいる祖母に対面したのだ...
プーシキン Alexander S Pushkin 岡本綺堂訳 「世界怪談名作集」
...これを求めて得ずしていたずらに憂いを買う者と言うべし...
福沢諭吉 「学問のすすめ」
...馬車は物憂い音をたてゝ辛うじて逼つて行つた...
牧野信一 「山を越えて」
...薫の憂いを見てはいっそうその思いがつのって...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...物憂い昼間の仕事台に向っていたときの男とは別人のような元気と精力をもっているようにおもわれた...
室生犀星 「香爐を盗む」
...その憂いの根本も分らなくなったのであります...
横光利一 「旅愁」
...国の憂いを語る同志もないため...
吉川英治 「三国志」
...帝のお唇(くち)は憂いをとじて語ろうともせぬ...
吉川英治 「三国志」
...関羽は憂いを面にみなぎらし...
吉川英治 「三国志」
...寡(か)は衆に敵せず――このことは、ご自身にも、深く憂いて、恟々(きょうきょう)と自信なく、如何にかはせんと、惑っている所でしょう...
吉川英治 「三国志」
...周瑜の遺書には、瑜(ユ)死ニ臨ミ、泣血(キュウケツ)頓首(トンシュ)シテ、書ヲ主君明公ノ麾下ニ致スと書き始めて、縷々(るる)といま斃(たお)れる無念をのべ、呉の将来を憂い、その国策を誌し、そして終りには、(自分の亡い後は、魯粛(ろしゅく)を大都督として職をお任せあれば、彼は篤実忠良な仁者ですから、外に過(あやま)たず、内に人心を獲ましょう)とも云いのこしてあった...
吉川英治 「三国志」
...このままでは人心も動揺する憂いがありましょう...
吉川英治 「三国志」
...悔いや憂いもあったろう」秀吉には...
吉川英治 「新書太閤記」
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