...金銭を武器にする修羅界(しゆらかい)の空気を憂鬱に感じるばかりだつた...
芥川龍之介 「本所両国」
...月の光は宵々ごとにその憂愁と冷徹さを深め...
薄田泣菫 「木犀の香」
...どんよりと物憂(ものう)く流れて居た...
谷崎潤一郎 「秘密」
...つい憂さはらしに琴などを遊ばしますし...
谷崎潤一郎 「盲目物語」
...如何にせんこの妓心ざま素直(すなお)にて唯我に事(つか)へて過ちあらんことをのみ憂(うれ)ふるを...
永井荷風 「矢はずぐさ」
...当今(いま)こそ彼女に物質の憂いはないが...
長谷川時雨 「豊竹呂昇」
...」彼は蒼ざめてひどく憂鬱な容子で部屋に歸つて來た...
ブロンテイ 十一谷義三郎訳 「ジエィン・エア」
...どこへ行ったところでどうせこれ以上のことはないというあきらめを持っている憂鬱なCは...
牧野信一 「吊籠と月光と」
...去ぬは憂し散るを見果てむかきつばたここを去るのはどうも惜しい...
牧野富太郎 「植物記」
...それからちゅうものは日々憂鬱して神(しん)定まらず「浅茅(あさぢ)ふの小野の笹(しの)原忍ぶれど...
南方熊楠 「十二支考」
...痘疹を憂懼せざるはなし...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...正篤のようすは日の経つにしたがって憂鬱の色を増した...
山本周五郎 「桑の木物語」
...もの憂そうにこちらを見...
山本周五郎 「花も刀も」
...家族の関係も同じように、夫妻のあいだも兄妹の仲も、他人の集まりのようにばらばらで、よろこびや悲しみ、憂いやたのしみ、愛情や劬(いたわ)りなど、一つとして共通のものはなかった...
山本周五郎 「やぶからし」
...憂鬱な性格で御座いましたが...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...太古の憂鬱さと新鮮さとが身に滲み込んで来る...
横光利一 「欧洲紀行」
...杢之進(もくのしん)をいよいよ憂鬱(ゆううつ)にさせて...
吉川英治 「増長天王」
...あるいは秋夕の憂鬱なる美観の中...
J. S. レ・ファニュ J.S.Le Fanu The Creative CAT 訳 「ドラムガニョールの白い猫」
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