...メアリーが埋葬されている側廊には異様な憂鬱な雰囲気がただよっている...
ワシントン・アーヴィング Washington Irving 吉田甲子太郎訳 「ウェストミンスター寺院」
...自分の憂鬱を底に包んで...
阿部次郎 「三太郎の日記 第二」
...陸近(くがぢか)なれば憂慮(きづか)いもなく...
泉鏡花 「悪獣篇」
...憂いに沈む園長の家族として令嬢トシ子(二〇)の写真を見た記憶があった...
海野十三 「爬虫館事件」
...その父憂憚惜く能わず...
高木敏雄 「比較神話学」
...関門を渡るたびに、私は憂欝になる、ほんたうの故郷、即ち私の出張(マヽ)地は防府だから、山口県に一歩踏み込めば現在の私として、私の性情として憂欝にならざるをえないのである、といふ訳でもないが、同時にさういふ訳でないこともないが、とにかく今日は飲んだ、飲んだゝけではいけないので、街へ出かけた、亀山祭でドンチヤン騒ぎ、仮装行列がひつきりなしにくる...
種田山頭火 「行乞記」
...人住むところ行くところ嘆と死とのあるところ歌と樂(がく)とのあるところ涙、悲み、憂きなやみ笑、喜び、たのしみと互に移りゆくところ、都大路の花のかげ白雲深き鄙の里白波寄する荒磯邊、無心の穉子(ちご)の耳にしも無聲の塚の床にしも等しく響く暮の鐘...
土井晩翠 「天地有情」
...彼等自身の憂鬱を見て取る...
豊島与志雄 「文学以前」
...当人が逃亡して再挙を企てる憂えはないか...
中里介山 「大菩薩峠」
......
原民喜 「書簡」
...憂さ晴らしの饗宴を張った...
火野葦平 「花と龍」
...悲嘆に暮れた憂鬱気質の人は...
デイビッド・ヒューム David Hume 井上基志訳 「人間本性論(人性論)」
...憂慮に閉ざされてケエプ・タウンの船会社支店へ殺到する...
牧逸馬 「沈黙の水平線」
...誰と話すにも第一に相手ばかりを遠慮して思ふことも易々とは云へない質(たち)で憂鬱を覚へるが...
牧野信一 「歌へる日まで」
...尚存憂国愛君意...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...すべてもの憂い考えのうちに数えられなければならない...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...何かしら憂鬱そうな眼を据(す)えながら戸若の繃帯頭を凝視した...
夢野久作 「衝突心理」
...宿禰は憂慮に悩んだ顔をして...
横光利一 「日輪」
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