...今迄の心配は杞憂(きいう)に過ぎなかつた樣にも思ふ...
石川啄木 「鳥影」
...外敵を憂えることをほとんど要しなかったような多年の歴史が国民にかような習性を形作るに至らしめたと見ることがおそらく正しいのであって...
石原純 「日本文化と科学的思想」
...心配したり憂欝になるなんて馬鹿な話だよ」「そんな訳には行かないでしょう...
梅崎春生 「風宴」
...私のからだを憂慮して...
太宰治 「春の盗賊」
...そして彼はその崇拝を受くるに一種の憂鬱(ゆううつ)な重々しい態度をもってした...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...もっともこれが私の杞憂に終れば...
中谷宇吉郎 「北海道開発に消えた八百億円」
...春に憂(うれい)ありとは天下を挙げて知らぬ...
夏目漱石 「薤露行」
...悶々(もんもん)としている憂愁を見てとった...
長谷川時雨 「遠藤(岩野)清子」
...そのうちに深い憂愁に落ち込んでしまった...
バルザック Honore de Balzac 中島英之訳 「ゴリオ爺さん」
...どうやら杞憂(きいう)にすぎなかつたとも考へて見なければならなかつた...
平出修 「計畫」
...お前は何んな心地がしたの?」と私も憂ひ顔をして...
牧野信一 「R漁場と都の酒場で」
...悩みよ、恐れよ、憂さよ、この痴(たは)れ心よ、夢よ――消えて、花となれの切ない憧れであつた...
牧野信一 「真夏の夜の夢」
...蜥蜴群に毒物と言わるるものが多いからこれも憂(うき)には洩(も)れぬわが身なりけりで...
南方熊楠 「十二支考」
...これまでの自分の生涯に嘗て経験しなかった一喜一憂であり...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...戯れかかることの多くなったことも玉鬘を憂鬱(ゆううつ)にした...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...憂欝な嫉妬と不安を私が感じないではいられないということが...
山崎富栄 「雨の玉川心中」
...憂鬱な夜行列車のような響を立てているのが...
夢野久作 「眼を開く」
...怏々(おうおう)として御憂悶の深かった上皇の侍側にあって...
吉川英治 「随筆 宮本武蔵」
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