...せめて妻を劬り慰めるだけの隔りを保つて行くのが道ではないであらうか...
阿部次郎 「三太郎の日記 第三」
...お前たちがこの書き物を読んで、私の思想の未熟で頑固(がんこ)なのを嗤う間にも、私たちの愛はお前たちを暖め、慰め、励まし、人生の可能性をお前たちの心に味覚させずにおかないと私は思っている...
有島武郎 「小さき者へ」
...」氷峰は慰める樣な...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...死をやうやく自覺した心靈を慰めるために...
海野十三 「心靈研究會の怪」
...弱い無智な貧乏人を慰めるのには...
太宰治 「恥」
...往って探(さが)してみる方がいくらか気を慰めると思って...
近松秋江 「狂乱」
...優しい言葉で宥(なだ)め慰めると同時に...
徳田秋声 「仮装人物」
...門番の女が彼女に向かってへまな慰め方をしていた...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...なんと言って慰めてやっていいか...
中里介山 「大菩薩峠」
...』と慰めの言葉を残して旅館に帰つて来た...
野口雨情 「石川啄木と小奴」
...萎(しお)れ返る甚兵衛を慰めながら...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...うずくまって泣きじゃくっている助手の髪を慰めるようになでてやるのだった...
フランツ・カフカ Franz Kafka 原田義人訳 「城」
...慰めたいにも本末(もとすゑ)をしらぬから方がつかぬ...
樋口一葉 「にごりえ」
...僅かに自分で自分をこう慰め人に顔を見られるのもいやな思いでスゴスゴ圓朝は楽屋へ下りてきた...
正岡容 「小説 圓朝」
...人間一人を慰められるのなら...
正宗白鳥 「母と子」
...因って虎を慰め悼(いた)む詞(ことば)を懸けながら近寄り虎が耳を傾け居る隙(すき)を見澄まし殺すのだ...
南方熊楠 「十二支考」
...人心(ひとごころ)も無き六美女をいたわり慰めつ...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...あるじが戻るまでのつなぎに、客の無聊(ぶりょう)を、慰めよとでも、いいつけられていたものか...
吉川英治 「私本太平記」
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