...乏しい様子が、燐寸ばかりも、等閑(なおざり)になし得ない道理は解(よ)めるが、焚残(もえのこ)りの軸を何にしよう……蓋(けだ)し、この年配(とし)ごろの人数(ひとかず)には漏れない、判官贔屓(ほうがんびいき)が、その古跡を、取散らすまい、犯すまいとしたのであった――「この松の事だろうか……」――金石(かないわ)の湊(みなと)、宮の腰の浜へ上って、北海の鮹(たこ)と烏賊(いか)と蛤(はまぐり)が、開帳まいりに、ここへ出て来たという、滑稽(おかし)な昔話がある――人待石に憩(やす)んだ時、道中の慰みに、おのおの一芸を仕(つかまつ)ろうと申合す...
泉鏡花 「瓜の涙」
...これに多数を意味する接尾音をつけた「シンヌ」はたくさんな山地でこれが「信濃(しなの)」に似るなどちょっとおもしろいお慰みである...
寺田寅彦 「言葉の不思議」
...寄り集って来ては慰みものにして痛快がっていることであった...
富ノ沢麟太郎 「あめんちあ」
...児戯に類した慰みをやってる利己主義者だと自分を見なして...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...正枝は花卉や野菜などを慰みに栽培していた...
豊島与志雄 「椿の花の赤」
...何一つ慰みもなく...
永井荷風 「一月一日」
...ひとつ生皮(いきがわ)を剥がして御覧あってはいかがでござる」「それは近頃の慰み……」と言うものもありました...
中里介山 「大菩薩峠」
...慰みがてら、親の留守をねらって取っつかまえて来た子鷲なんだろう、だから、考えてみると、こいつをこっちへ置くのが道理に外れたことで、返してやるのが人情だあな」と米友が答えました...
中里介山 「大菩薩峠」
...個人の慰みもンだアね...
林芙美子 「清貧の書」
...あなたの夜のお慰みにと思つて...
ブロンテイ 十一谷義三郎訳 「ジエィン・エア」
...婦女子の慰みものになる怒りと恥が彼等の眼に燃えていた...
フィオナ・マクラウド Fiona Macleod 松村みね子訳 「女王スカァアの笑い」
...当時無官になっていた源氏の無紋の衣裳(いしょう)も季節に従って仕立てて送るような慰みもあった...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...今では暇つぶしであり慰みである...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...慰みに書いたり笑いながら書いたりしたものもあるが...
柳田国男 「故郷七十年」
...慰み半分の寄合はよくあったらしい...
山本周五郎 「青べか物語」
...「今日はこの辺の地頭や里人(さとびと)どもが、帝のお慰みにと、さまざまな催しを設けて、お待ちしておりますれば、どうぞ御遊(ぎょゆう)のお身支度を」「そうか」忠顕の顔が、上で受けて...
吉川英治 「私本太平記」
...自分たちの芸をお慰みにいれたいと...
吉川英治 「私本太平記」
...すばらしい慰みを取り逃がした...
ルナアル Jules Renard 岸田国士訳 「にんじん」
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