...同時にそれほど慕わしい束縛は他にない事を知るのです...
有島武郎 「或る女」
...里子に出した赤児を慕って泣く母親の心を察してまたひきとってあげたという...
「草藪」
...雪に対する日ましにつのるこの切ない思慕の念は...
太宰治 「断崖の錯覚」
...どんなにいままで慕つてゐたか知つてゐるやうであつた...
太宰治 「津軽」
...私は、長兄に厳しく罵倒(ばとう)されたけれども、その兄が懐しくて、慕わしくて、ならなかった...
太宰治 「東京八景」
...近頃四谷に移住(うつりす)みてよりはふと東坡(とうば)が酔余の手跡(しゅせき)を見その飄逸(ひょういつ)豪邁(ごうまい)の筆勢を憬慕(けいぼ)し法帖(ほうじょう)多く購求(あがないもと)めて手習(てならい)致しける故唐人(とうじん)が行草(ぎょうそう)の書体訳もなく読得(よみえ)しなり...
永井荷風 「矢はずぐさ」
...あなた様のおあとを慕って...
中里介山 「大菩薩峠」
...且つそれが皆哀切でやるせないフエミニストの思慕を訴へてゐる...
萩原朔太郎 「月の詩情」
...われわれの思慕(しぼ)は常に恋愛ならざるを得ないからだ...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「ヴェニスに死す」
...後を慕って此処(ここ)まで来た露月...
三上於兎吉 「艶容万年若衆」
...詩情詩はふるきほど尊とくこゝろむかしの言葉をえらみ潤ひを慕はんとはする...
室生犀星 「忘春詩集」
...故郷(こきょう)を慕って...
Johann Wolfgang von Goethe 森鴎外訳 「ファウスト」
...後から呂布を追い慕って行った...
吉川英治 「三国志」
...油断するな」慕蓉は兵を鼓舞するために...
吉川英治 「新・水滸伝」
...賊将の首二ツぐらい慕蓉(ぼよう)の前に供えられぬことはあるまい」こういわれては...
吉川英治 「新・水滸伝」
...梁楷の画風を慕ってそれを習(まな)んだ...
吉川英治 「随筆 宮本武蔵」
...彼の人間と剣を慕って...
吉川英治 「宮本武蔵」
...失われた永遠の美を慕うて嘆くものには...
和辻哲郎 「日本精神史研究」
便利!手書き漢字入力検索