...」と主税の方へ挨拶して、微笑(ほほえ)みながら、濃い茶に鶴の羽小紋の紋着(もんつき)二枚袷(あわせ)、藍気鼠(あいけねずみ)の半襟、白茶地(しらちゃじ)に翁格子(おきなごうし)の博多の丸帯、古代模様空色縮緬(ちりめん)の長襦袢(ながじゅばん)、慎ましやかに、酒井に引添(ひっそ)うた風采(とりなり)は、左支(さしつか)えなく頭(つむり)が下るが、分けてその夜(よ)の首尾であるから、主税は丁寧に手を下げて、「御機嫌宜(よ)う、」と会釈をする...
泉鏡花 「婦系図」
...イヤで別れたのでない大杉に最後の訣別(わかれ)を告げに来て慎ましやかに控えていたが...
内田魯庵 「最後の大杉」
...無言で慎ましやかに待っているところへ...
林不忘 「安重根」
...慎ましやかに煙草の煙を吹いてゐた...
徳田秋聲 「草いきれ」
...慎ましやかにほほえみました...
フランセス・ホッヂソン・バァネット Frances Hodgeson Burnett 菊池寛訳 「小公女」
...慎ましやかに弁解した...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogolj(Николай Васильевич Гоголь) 平井肇訳 「死せる魂」
...軽く笑つて慎ましやかに眼を伏せた...
牧野信一 「或る日の運動」
...町長の河部さんがゐるので慎ましやかに控えてゐた...
牧野信一 「淡雪」
...細い眼を慎ましやかに伏せた...
牧野信一 「「悪」の同意語」
...努めて慎ましやかにその花見の人に愛想を述べた...
牧野信一 「お蝶の訪れ」
...兄さん――海路(かいろ)――といふのは如何かしら?」と慎ましやかに微笑した...
牧野信一 「海路」
...慎ましやかに気色を変へて「その方が好いよ...
牧野信一 「蔭ひなた」
...優勝杯をさゝげたキャプテンの傍らに大きな花環を抱へた彼が慎ましやかに立つてゐた...
牧野信一 「サクラの花びら」
...」と彼は慎ましやかに云つてゐる...
牧野信一 「西瓜喰ふ人」
...たゞ極めて慎ましやかに...
牧野信一 「毒気」
...慎ましやかに眼蓋を伏せて溜息を吐いた...
牧野信一 「夏ちかきころ」
...消えて行く千鶴子の後姿がひどく慎ましやかに見え...
横光利一 「旅愁」
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