...畷道を桂川の上流に辿ると、迫る處怪石巨巖の磊々たるはもとより古木大樹千年古き、楠槐の幹も根も其のまゝ大巖に化したやうなのが々と立聳えて、忽ち石門砦高く、無齋式、不精進の、わけては、病身たりとも、がたくり、ふら/\と道わるを自動車にふんぞつて來た奴等を、目さへ切塞いだかと驚かれる、が、慈救の橋は、易々と欄干づきで、靜に平かな境内へ、通行を許さる...
泉鏡花 「遺稿」
...畷道(あぜみち)を桂川の上流に辿ると、迫る処怪石(かいせき)巨巌(きょがん)の磊々(らいらい)たるはもとより古木大樹千年古き、楠槐(なんかい)の幹も根もそのまま大巌に化したようなのが々と立聳(たちそび)えて、忽(たちま)ち石門砦高く、無斎式、不精進の、わけては、病身(びょうしん)たりとも、がたくり、ふらふらと道わるを自動車にふんぞって来た奴等を、目さえ切塞(きりふさ)いだかと驚かれる、が、慈救の橋は、易々と欄干(らんかん)づきで、静(しずか)に平(たいら)かな境内へ、通行を許さる...
泉鏡花 「遺稿」
...大慈救世(ぐせ)の聖徳皇父の如くに在(おわ)します大悲救世(ぐせ)の観世音母のごとくに在します……自作の讃歌をうとうていながら...
吉川英治 「親鸞」
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