...しかし見た所はいかにも慇懃(いんぎん)に口を開いた...
有島武郎 「或る女」
...廿一日、辛酉、晴、午剋、忠綱朝臣件の御調度等を御所に運ばしむ、御車二両、九錫彫の弓、御装束、御随身の装束、移鞍等なり、是皆仙洞より調へ下さると云々、将軍家、忠綱朝臣を簾中に召して御対面有り、慇懃の朝恩、殊に賀し申さると云々、凡そ此御拝賀の事に依りて、参向の人已に以て数輩なり、皆御家人等に仰せて、毎日の経営、贈物、花美を尽す、是併しながら、庶民の費に非ざる莫し...
太宰治 「右大臣実朝」
...慇懃(いんぎん)に挨拶をして...
谷崎潤一郎 「細雪」
...むしろ慇懃(いんぎん)な態度だったのです...
ドストエーフスキイ 中山省三郎訳 「カラマゾフの兄弟」
...遅刻致(いた)しましたと慇懃(いんぎん)に狸(たぬき)に挨拶(あいさつ)をした...
夏目漱石 「坊っちゃん」
...兄哥」平次の調子は慇懃(いんぎん)ですが...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...なんか御用で――」慇懃(いんぎん)な態度はひどく粗朴(そぼく)ですが...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...慇懃に庭先から別世界のひとたちを誘った...
久生十蘭 「我が家の楽園」
...相手の慇懃(いんぎん)な話を懶(ものう)げに聞いてゐた...
ブロンテイ 十一谷義三郎訳 「ジエィン・エア」
...」彼の態度は慇懃であつた...
ブロンテイ 十一谷義三郎訳 「ジエィン・エア」
...)――ロダンはそれに對して慇懃な禮状を出したらしい...
ライネル・マリア・リルケ Rainer Maria Rilke 堀辰雄訳 「リルケ書翰(ロダン宛)」
...ガンター調教師が慇懃(いんぎん)にミスター・スミスと呼んでいた...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「悪の帝王」
...紹介されぬ先よりその人の顔を孔(あな)の明(あ)くほど眺めておれる大原は平生(へいぜい)の書生風に引かえて俄(にわか)に容(かたち)を正し慇懃丁重(いんぎんていちょう)に両手を突いて初対面の口儀(こうぎ)を述べ「ありがたい訳だね...
村井弦斎 「食道楽」
...慇懃鄭重(いんぎんていちょう)に扱っておけば...
吉川英治 「江戸三国志」
...慇懃(いんぎん)も...
吉川英治 「新書太閤記」
...慇懃(いんぎん)に...
吉川英治 「新書太閤記」
...むしろ慇懃(いんぎん)にさえ見える身ごなしではいって来たが...
吉川英治 「宮本武蔵」
...『ありがとう』慇懃(いんぎん)に...
吉川英治 「山浦清麿」
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