...唯其處にのみ愚かな...
阿部次郎 「三太郎の日記 第二」
...そは愚かしきあだ心...
上田敏 上田敏訳 「海潮音」
...こんな瞬間には疑いが起こるくらいは愚かなこと...
ドストエーフスキイ 中山省三郎訳 「カラマゾフの兄弟」
...それはこの愚かな邪悪な町にふさわしい忌むべき中傷であると...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...その愚かな耳とでしょうか...
豊島与志雄 「白い朝」
...真直な木が曲った木に対して自分と同じ様でないと云って腹を立てるのは愚かなことだ...
豊島与志雄 「田原氏の犯罪」
...「何か聞出したのか」「お隣の長崎屋――あの万両分限の箱入り娘お喜多が、皆川半之丞と仲がよくなったのを、長崎屋の主人幸右衛門が、貧乏浪人などは以(もっ)ての外と、生木(なまき)を割いたのを御存じですかい」「いや知らねえ」「銭形の親分も、情事(いうごと)出入りには目が利かないネ」「ふざけるな――探ったのはそれっきりか」「…………」「手前が妹に教わって、蒙求(もうぎゅう)を囀(さえず)る間、奥の一と間じゃ何をやったんだ」「それが解らねえ、素読の声は愚か、人の話し声も聞えませんや」「呆れた野郎だ、娘の顔ばかり見ていたんだろう」「もっとも、人の歩く音や、重い物を引摺るような音は聞えたように思うが」「それが謀叛の証拠になるかも知れなかったんだ、何だって覗いて見ねえ」「武士はそんな卑怯なことをするものじゃねえ――と言いたいが、実は娘が側(そば)にひっ付いて、瞬(またた)きする間も離れなかったんで、へッ、へッ」ガラッ八は平掌(ひらて)で長い顎を逆撫でにしております...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...クリヒの愚かさとラーベンシュタイナーの怠惰とカミナーのいやらしいはいつくばるような卑屈さとほどには...
フランツ・カフカ Franz Kafka 原田義人訳 「審判」
...殊に愚かなのは園池なんて奴...
古川緑波 「古川ロッパ昭和日記」
...若しかしたら愚か者の役を知らずにやつてゐたのかも知れないといふことに思ひ附いた...
ブロンテイ 十一谷義三郎訳 「ジエィン・エア」
...愚かなほどつまらぬことでさえ...
本庄陸男 「石狩川」
...愚かなお調子者の非文学的な彼の小説のつまり彼である主人公が...
牧野信一 「鏡地獄」
...いかにも愚かな話である...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...臣下の一番愚かな者を相手とする場合にも...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...身動きは愚か、瞬き一つ出来ないままに……と思う間もなく女の全身に、真黒な汽鑵車の投影(かげ)が、矢のように蔽いかかった...
夢野久作 「空を飛ぶパラソル」
...彼女に同情しつつ在る最も愚かな犠牲者である……と言った風に考えているらしい事が...
夢野久作 「少女地獄」
...そういう腰抜けの先輩を追いかけるのは愚かである...
吉川英治 「宮本武蔵」
...昨春の地震の警告をきかなかった愚かさは我々の前にあまりにも悲惨に示された...
和辻哲郎 「地異印象記」
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