...それは要には意外でないことはなかったけれども...
谷崎潤一郎 「蓼喰う虫」
...短笛だ――意外にして意外でないと...
中里介山 「大菩薩峠」
...そういう門戸を張った学者ではなかったけれど、偶然にも我輩は、英学の勝(すぐ)れた友人を一人持っていたね」「あ、そうですか、その人を御紹介していただけないでしょうか」「あせってはいけない、それはもう二十年も昔のことだよ」「二十年ですか……でも、かまいません、御紹介を願いたいものです、今の時節では、紹介を得なければ、よき師に就けません」「いや、拙者のいま話したのは、門戸を張った学者ではない、しかも、れっきとした幕府の直参(じきさん)なんだから、紹介があったとて、人に教授などの余裕はない人なんだが、あの男は、たしかに英語が出来た、あのくらい出来たのは、当時でも、今日でも、まずあるまい」「大家ですね、御紹介が願えなければ、お名前だけでもお聞かせ下さい、大家のお名前を承って置くだけでも後学の力になりますよ」「駒井能登守といってな、幕府の旗本で、なかなか大した家柄なんだが、学生となると我輩などと同格で勉強したものなんだ、その後、甲州勤番支配にまでなったという話は聞いたが、その後の消息が一向わからん」ここで意外の人から、意外の人の噂(うわさ)を聞いたものだが、この青年にとっては、意外にも、意外でないにも、駒井能登などいう名は全く初耳でありました...
中里介山 「大菩薩峠」
...男神が甦生しても大して意外でない悠々さがある...
宮本百合子 「九州の東海岸」
...この程度の開展は必ずしも意外でない...
柳田國男 「野草雑記・野鳥雑記」
...人間の心情がその不断の影響に服したのは意外でない...
柳田国男 「雪国の春」
...それが少しも意外でないことに気づいて...
山本周五郎 「赤ひげ診療譚」
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