...すると私の生涯の懐かしい幾つかの小説が私をいつ果てるとも知れぬものの云いようのない憂愁の中に沈めてしまった...
モオパッサン 秋田滋訳 「ある自殺者の手記」
...底(そこ)ひも知らぬ深淵(しんえん)は憂愁の國...
上田敏 上田敏訳 「海潮音」
...あんな愁嘆なんて...
太宰治 「富嶽百景」
...そうしてやはり何かしら淡い客愁のようなものを誘われるのである...
寺田寅彦 「柿の種」
...九十五度の風が吹くと温帯の風物は赤土色の憂愁に包まれてしまうのである...
寺田寅彦 「夏」
...それでいて憂愁は日ねもすほとんど彼の胸を去らずにいたのであった...
ドストエーフスキイ 神西清訳 「永遠の夫」
...少年の愁ひを悲しんでゐた私であつた...
萩原朔太郎 「宿命」
...郷愁が彼の心を噛(か)んだ...
原民喜 「永遠のみどり」
...愁(つ)らかるべしと思(おも)ふこと折々(をり/\)に見(み)えけり...
樋口一葉 「曉月夜」
...愁然(しゅうぜん)と立ち上がる...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...愁歎(しゅうたん)の中はじつとうつむき聞き居り「につこりと笑うて」の白は云ひ悪さうにいふ...
三木竹二 「両座の「山門」評」
...酒を愁(うれ)いを掃う玉帚というも立派に訳が立つ...
南方熊楠 「十二支考」
...丸田は自分の幼ない頃味つた哀愁をさながらに示されるやうな心持になつた...
宮地嘉六 「煤煙の臭ひ」
...暑い時分は料理の間へアイスクリームなんぞを挟んでもさぞ一同が悦(よろこ)びましょうがアイスクリームを手軽に製造する方法がありますか」第二百四十四 アイスクリームお登和嬢は全く料理談に惹入(ひきい)れられてまた胸中の愁(うれい)を忘れたり「そうでございますね...
村井弦斎 「食道楽」
...黄になった稲の中で啼(な)く声にも愁(うれ)いがあるようであった...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...母親にわざとのように或る哀愁をふくんだ声音(こわね)で言った...
室生犀星 「後の日の童子」
...今日に似た旅愁の所業の一つかとも思われた...
横光利一 「旅愁」
...堂々としてはいても甘い哀愁をさそうようにしおらしい...
和辻哲郎 「古寺巡礼」
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