...聴くものの顔にもやや愁眉をひらく気配が動いた...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...ここに天皇愁歎(うれ)へたまひて...
稗田の阿礼、太の安万侶 「古事記」
...ソロモン王の底知れぬ憂愁をうかがひ知り得る唯ひとりの人である...
太宰治 「人物に就いて」
...その憂愁のために窕子の頬が此頃夥たゞしくやつれて來てゐるのが映つた...
田山花袋 「道綱の母」
...名状の出来ぬ暗愁が胸にこみあげて来て...
寺田寅彦 「障子の落書」
...二人は憂愁に沈みながら...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...聖にまでももたらされたる憂愁...
中井正一 「物理的集団的性格」
...愁(うれい)は衣に堪えぬ玉骨(ぎょっこつ)を寸々(すんずん)に削る...
夏目漱石 「薤露行」
...ひとり樹木の幹に抱きついて「戀を戀する人」の愁をうたつた...
萩原朔太郎 「青猫」
...郷愁をおびた土佐節を聞いていると...
林芙美子 「新版 放浪記」
...悲(かな)しかるべき事(こと)今(いま)おもふても愁(つ)らし...
樋口一葉 「われから」
...心(こゝろ)に籠(こ)めて愁(うれ)はしけの體(てい)にてあるを...
樋口一葉 「われから」
...やるせない郷愁をなぐさめるよすがにこの店を撰んだわけである...
久生十蘭 「墓地展望亭」
...いつも哀愁をおびた歌調(しらべ)にめいめいの歓びを唄ひだす時刻であつた...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogoli 平井肇訳 「ディカーニカ近郷夜話 前篇」
...「入塾が出来ない位なら生ている甲斐がない」ト溜息(ためいき)噛雑(かみま)ぜの愁訴...
二葉亭四迷 「浮雲」
...寄席へ出て落語家(はなしか)がやっててえ」何ともいえない郷愁に似たものがヒシヒシ十重二十重(とえはたえ)に自分の心の周りを取り巻いてきた...
正岡容 「小説 圓朝」
...秋になると空の色も人の哀愁をそそるようになり...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...郷愁という名称をつけていた...
室生犀星 「陶古の女人」
便利!手書き漢字入力検索