...憂愁、寂寥(せきりょう)の感を、ひそかに楽しむのである...
太宰治 「愛と美について」
...もう旅愁を覚える...
種田山頭火 「其中日記」
...――憂愁懊悩たへがたし...
種田山頭火 「其中日記」
...愛妻を失って憂愁の生活をしている痩せた叔父の姿が彼の頭に映った...
豊島与志雄 「恩人」
...白日のうちにそして静かな夢幻のうちに自然に眠りから醒めてゆくかの心の置場の無いような寂寥と憂愁とを...
豊島与志雄 「田原氏の犯罪」
...一種郷愁に似た感傷を覚えざるを得なかった...
中村地平 「霧の蕃社」
...鏡のようにすみわたった大空にはいつあらわれたのか丘のような白雲がのろのろとながれ、左岸にそびえる騏麟(きりん)の首みたいなE塔の尖端や、河中にもうろうとうかぶN寺院の壮厳なすがたや、点々とちらばる対岸の灯、前後に架せられたあまたある橋のあかりが、青黒い、暗愁の、ものうげにゆれている河面にゆめのような華彩の影をおとし、いまやS河は、奇っ怪千万な深夜の溜息をはいているのだ...
西尾正 「放浪作家の冒険」
...主観の情愁に対象されてる...
萩原朔太郎 「郷愁の詩人 与謝蕪村」
...とりわけ心の旅愁を呼びおこして...
萩原朔太郎 「郷愁の詩人 与謝蕪村」
...縹渺(ひょうびょう)よるべなき郷愁の悲哀の中に...
萩原朔太郎 「郷愁の詩人 与謝蕪村」
...夕日にけぶる愁ひの坂路...
萩原朔太郎 「散文詩・詩的散文」
...何といふこともない生活の暗愁や...
萩原朔太郎 「宿命」
...眞鍋はかうした若い男の清純な旅愁も羨ましいと思つてゐた...
林芙美子 「ボルネオ ダイヤ」
...限りない憂愁の情にとらえられるような傷ましい風景だった...
久生十蘭 「地底獣国」
...娘の顔には一種哀愁の影が浮かんだ...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogoli 平井肇訳 「ディカーニカ近郷夜話 前篇」
...さすがにその人にまつわるものの愁(うれ)わしさをお覚えになった...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...怒ったり・恐れたり・逃げたり・互いに嫉妬したり・愁嘆したり・恋愛したりさせるのは...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...淡い郷愁と同時に...
吉川英治 「平の将門」
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