...自分(じぶん)の惰性(だせい)を以(もつ)て家屋(かおく)が地面(ぢめん)と一緒(いつしよ)に動(うご)くことに反對(はんたい)するからである...
今村明恒 「地震の話」
...僅(わず)かに惰力を維持するに止まる...
大隈重信 「勢力の中心を議会に移すべし」
...惰気やねむけの催さぬうちに...
相馬愛蔵 「私の小売商道」
...パンドラの箱の中には、疾病、恐怖、怨恨、哀愁、疑惑、嫉妬、憤怒、憎惡、呪咀、焦慮、後悔、卑屈、貪慾、虚僞、怠惰、暴行などのあらゆる不吉の妖魔がはひつてゐて、パンドラがその箱をそつとあけると同時に、羽蟻の大群の如く一齊に飛び出し、この世の隅から隅まで殘るくまなくはびこるに到つたといふ事になつてゐるが、しかし、呆然たるパンドラが、うなだれて、そのからつぽの箱の底を眺めた時、その底の闇に一點の星のやうに輝いてゐる小さな寶石を見つけたといふではないか...
太宰治 「お伽草紙」
...またしばしば刑罰の鞭(むち)をふるってわれわれのとかく遊惰に流れやすい心を引き緊(し)める「厳父」としての役割をも勤めるのである...
寺田寅彦 「日本人の自然観」
...今に仕事をすると考えながら怠惰に日を送ることが...
豊島与志雄 「死ね!」
...時代相伝の怠惰な習慣の重い遺産をもちながら...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...そういうふうに取り入れられた静観はついに怠惰の一形式に終わるということに...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...失敗と挫折と窮迫との最終の報酬なる怠惰と無責任との楽境(らくきょう)もある...
永井荷風 「日和下駄」
...今まであやふやに不精不精(ふしょうぶしょう)に徘徊(はいかい)していた惰性を一変して屹(きっ)となるには...
夏目漱石 「坑夫」
...僕も豆腐屋へ年期奉公に住み込んで置けばよかった」「君は第一平生から惰弱(だじゃく)でいけない...
夏目漱石 「二百十日」
...登ることに決めてありながら寝坊をした惰性が...
早川鮎子 「穂高岳屏風岩にて」
...パパは懶惰の美とでもいうようなのろのろの魅力にひっかかって結婚を申し込んだが...
久生十蘭 「だいこん」
...私の当時の怠惰が何かそんなことに起因してゐるのではないかしら? といふ風な疑ひを...
牧野信一 「毒気」
...悪政や怠惰や浪費や商業の急変により停止的となる時には...
トマス・ロバト・マルサス Thomas Robert Malthus 吉田秀夫訳 「人口論」
...師匠自らの惰を戒めるためともみられる...
矢田津世子 「※[#「やまいだれ+句」、第4水準2-81-44]女抄録」
...その文化はやがて頽廃的(たいはいてき)な懶惰(らんだ)と爛熟(らんじゅく)の末期(まつご)を生んできたばかりか...
吉川英治 「源頼朝」
...たび/\怯惰なる偸安者と想はれることもあつた...
吉田絃二郎 「沈黙の扉」
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