...これが社会生活に強い惰性となって膠着(こうちゃく)している...
有島武郎 「惜みなく愛は奪う」
...持って生れた狷介と懶惰とズボラとは爰(ここ)でも永続(ながつづ)きがしないで...
内田魯庵 「硯友社の勃興と道程」
...オフルの金を以て懶惰貪慾不義をも粧(よそお)いたまうなれば...
内村鑑三 「基督信徒のなぐさめ」
...即ちパリの遊人等の惰弱なお上品に対して...
大杉栄 「新しき世界の為めの新しき芸術」
...永年の怠惰な自讃に酔って...
太宰治 「惜別」
...たとえば暗中に振り回す線香の火のような場合ならば網膜の惰性のためにその光点は糸のように引き延ばされて見えるのであるが...
寺田寅彦 「映画雑感(1[#「1」はローマ数字、1-13-21])」
...物体の惰性に基くと考えられる質量――惰性質量――に対して...
戸坂潤 「科学方法論」
...そうした懶惰な認識に仮睡を与えることが道義的感触の役目となる...
戸坂潤 「現代日本の思想対立」
...味方のために柔惰になされていた...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...従来親戚の間の評判のよくない私、妄想や、誤解や、曲解や、悪意や、敵意から、偏屈、一刻、怠惰、吝嗇(りんしょく)、貪慾(どんよく)、等、等、勝手放題な悪名をばらまかれた私である...
中勘助 「結婚」
...運漕業なら大分人が要るでしょう」「根が怠惰(なまけ)もんですからな...
夏目漱石 「それから」
...私は惰性で心にもないことを呟いて...
牧野信一 「或る日の運動」
...そして慎慮の足らぬ蒙昧人の無智と怠惰とのために...
トマス・ロバト・マルサス Thomas Robert Malthus 吉田秀夫訳 「人口論」
...怠惰のもつ魅力が発散するかと思われた...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「ヴェニスに死す」
...然し一日も休まぬといふことを何よりの誇りとしてゐる仲間の方では恐らく彼のやうな怠け者の姿をよしや見附けたところで見ぬふりして過ぎた筈(はず)である――彼の顔面は懶惰(らんだ)の羞恥(しうち)で堅くなつてゐた...
宮地嘉六 「煤煙の臭ひ」
...懶惰人(らんだじん)が頗る多いが...
コロレンコ Vladimir Galaktionovick Korolenko 森林太郎訳 「樺太脱獄記」
...現実を正視することに怠惰(たいだ)であると共に...
与謝野晶子 「「女らしさ」とは何か」
...惰眠(だみん)をむさぼらんや」と叫ぶと...
吉川英治 「三国志」
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