...ただ部屋の中心の皮椅子にもはや鶴彌の惨死体は見当らず...
海野十三 「地獄の使者」
...惨めな姿を俺に、これ以上もう見せなくてもいいでしょう――しょんぼりした後ろ姿は、そう言っているかのようだったが、「どこへ行く……」と矢萩はどなった...
高見順 「いやな感じ」
...想像を絶した悲惨な地獄絵を展開するようになるのではないかとさえ思われます...
太宰治 「惜別」
...私は戦争の原因よりも先づその悲惨にうたれる...
種田山頭火 「行乞記」
...われわれをいっしょにしてる共通の悲惨のことだけを考えようではないか...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...「川岸まで戻ってみようか」眼を見合せて惨澹(さんたん)たる面(かお)の色...
中里介山 「大菩薩峠」
...徳川方があの惨憺(さんたん)たる醜態を曝露(ばくろ)したと見れば...
中里介山 「大菩薩峠」
...その陰惨な空気の中でヘロデは晩年を送らねばならなくなった...
野上豊一郎 「処女の木とアブ・サルガ」
...滅入ったような陰惨さ...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...それほど惨虐な心を抱いているのではない...
長谷川時雨 「柳原※[#「火+華」、第3水準1-87-62]子(白蓮)」
...僕の踏んでゐる惨劇の破片の道路と道路の上の空は今...
原民喜 「災厄の日」
...死の谷のような風貌をした悲痛陰惨な地隙(グルンド)の底である...
久生十蘭 「地底獣国」
...惨めなのは、自分を責めるしかないことです...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「黄金薔薇」
...あいつには最も無神経な法螺が吹いてある……自信がないといふことは斯んなにも惨めなことなのだらうかなあ! 独り! 独り! 人間にさへ出遇はなければ俺は...
牧野信一 「夏ちかきころ」
...この村の人たちも空襲の恐怖や戦火の惨状というものについては...
横光利一 「夜の靴」
...敵国の侵入の惨苦を知らぬ民族の道徳というものは...
横光利一 「我等と日本」
...ことに、最後の日は、両軍の接戦、惨烈を極めて、曹操自身も、乱軍の中に巻きこまれ、蜀の魏延と刃(やいば)を交(まじ)えているうちに、「斜谷の城中から、裏切者が火の手をあげた」という混乱ぶりであった...
吉川英治 「三国志」
...大火の惨害の原因を辿(たど)れば...
和辻哲郎 「地異印象記」
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