...そいでも口惜(くや)しさが一杯でしたよって...
谷崎潤一郎 「卍(まんじ)」
...(計られた)と、思うと、恐怖心と、口惜しさとが、混乱した...
直木三十五 「南国太平記」
...まだ早い」「それでも鴉ぐらい」金蔵は口惜(くや)しそうです...
中里介山 「大菩薩峠」
...口惜(くや)しいッ」女は何におどろかされたか...
中里介山 「大菩薩峠」
...見送つてくれた公使と別れを惜んで私たちは車中の人となつた...
野上豐一郎 「大戰脱出記」
...「よしよしよっぽど命が惜しいと見えるな...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...あまりお名残(なごり)が惜しいと存じまして...
野村胡堂 「葬送行進曲」
...女はほんの僅かな猶予をさへ惜むかのやうにじりじりと男につめよつた...
平出修 「瘢痕」
...ただ御身のすぐれたる頭脳を惜しむのだ...
平田晋策 「昭和遊撃隊」
...惜しいことに私が本科二年の時...
三浦環 「お蝶夫人」
...文豪といへども日記では筆を惜むのがつねだ...
三木清 「日記と自叙伝」
...それが晴天には歩いていても雨が降って来ると下駄の惜しさに車へ乗るという哀れはかない始末ですがそれでは下駄の代価へ車賃まで算入しなければなりません...
村井弦斎 「食道楽」
...大金に代(か)うとも惜しからじ...
森鴎外 「興津弥五右衛門の遺書(初稿)」
...それを口惜しい、残念だと思ふと同時に、痛切に心の空虚を感ずる...
森鴎外 「妄想」
...何となく名残り惜しく思ッたが...
矢崎嵯峨の舎 「初恋」
...鬼神を驚かす眼識じゃわい」「……と……仰せられますると……」若い平馬の胸が口惜しさで一パイになって来た...
夢野久作 「斬られたさに」
...可惜(あたら)、足下ほどな英質を持って」「だまれっ」昭はやにわに席を突っ立ち、城門のほうを指さした...
吉川英治 「三国志」
...名残惜しげに、「では、渡船場(わたしば)まで」と話しつつ、歩いてゆく...
吉川英治 「親鸞」
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