...殊に俺には異性との間に於ける恍惚と歡樂と嘆息と變化との間に現實的の充實を求めるドン・ホアンの心が漲つてゐる...
阿部次郎 「三太郎の日記 第二」
...惚れ惚れと彼の顔に見入っていたが...
大倉※[#「火+華」、第3水準1-87-62]子 「魔性の女」
...執拗な陰気な顔をしてる愚かな乳母(うば)はうつとりと見惚れて...
大手拓次 「藍色の蟇」
...あんなに惚れていてどうしてああ喧嘩したのやろ」女主人はその時分のことを思い出すような風で笑った...
近松秋江 「霜凍る宵」
...恍惚(こうこつ)として醒めきらないこの苦い快感のなかに...
富ノ沢麟太郎 「あめんちあ」
...案じるな娘に惚れたで...
直木三十五 「南国太平記」
...君の面(かお)に見惚(みと)れて...
中里介山 「大菩薩峠」
...惚気(のろけ)でもいわせてみるがいい」「ヘエ――」八と別れて...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...惚気(のろけ)を聴きに来たんじゃねえ...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...「師匠も大層眤懇(ぢつこん)だつたといふぢやないか」「え、え、皆樣御存じだから隱しやしません、昔は隨分何んとか言はれましたよ、でも半歳足らずで鼬(いたち)の道ぢやありませんか、何處へ行つたかと思ふと、河岸まで同じお幾のところで、脂下(やにさが)つて居たのもほんの二た月三月、近頃は素人衆がよくなつて、米屋の御隱居の話し相手ですとさ、あんな男に、未練も何んにもありやしません、百文の香奠(かうでん)だつて、出してやるものですか」「恐ろしく見限りやがつたね、清次郎も浮ばれまいよ、ところで近頃は繁々と猪之助が來る相ぢやないか」「三日に一度は來ますよ、鹽辛聲で唄の稽古も目當てがあつての修業でせうが、私はあんな人は嫌ひ」「どうしたわけだ」「ケチで強情で、自惚が強くて、賽錢惜みをするから」文字花はぬけ/\と斯んな事を言ふのです...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...惚れた者の哀れさを輕蔑(けいべつ)するより...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...聚落(しゅうらく)人をみな戦わせ、人の酒を腐らせ、美しい童女をして別人に嫁ぐを好まざらしめ、夢中に童女と通じ、市中の人をことごとく裸で躍らせ、女をして裸で水を負うて躍らせ、貨財を求め、後家に惚れられ、商店をはやらなくし、夫婦を睦(むつま)じくし、自分の身を人に見せず、一切人民を狂わせ、敵軍を全滅せしめ、童女を己れ一人に倶移等来(ぐいとこ)させ、帝釈天に打ち勝ち、人を馬鹿にしてその妻女男女を取り、人家を焼き、大水を起し、その他種々雑多の悪事濫行を歓喜天のおかげで成就する方を述べある...
南方熊楠 「十二支考」
...」「あの人ほんまに三田さんに惚れてゐやはるのやろか...
水上滝太郎 「大阪の宿」
...一夜恍惚たる蒼い蒼い光りに溢れる月に向って...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...あの頃わたくし全くあなたに惚れていましたの...
モルナール・フェレンツ Molnar Ferenc 森鴎外訳 「最終の午後」
...見たか聞いたか解ったか」藍丸王は我れを忘れてこの歌に聞き惚(と)れていた...
夢野久作 「白髪小僧」
...霹靂火(へきれきか)秦明なる男に惚れ込んでこんなにまで執着を持ったのはわれわれどもなんです...
吉川英治 「新・水滸伝」
...同じ惚れるにしても...
神西清訳 「ムツェンスク郡のマクベス夫人」
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