...と言解(いいとく)様の我を欺(あざむ)くとも思われねば、得三は疑い惑い、さあらんには今しがた畦道(あぜみち)を走りし婦人(おんな)こそ、籠を脱けたる小鳥ならめ、下枝一たび世に出(いで)なば悪事の露顕は瞬く間と、おのが罪に責められて、得三の気味の悪さ...
泉鏡花 「活人形」
...川手氏さえ戸惑いしそうな複雑な邸内の間取りを...
江戸川乱歩 「悪魔の紋章」
...私みたいな妙ちきりんなお客に対する給仕の待遇すこぶる突慳貪(つっけんどん)を極めてまるでどこかの外交員でも戸惑いして来たかのような扱いであったから...
橘外男 「ナリン殿下への回想」
...はなはだもって迷惑いたす...
橘外男 「亡霊怪猫屋敷」
...われわれの月並みの宇宙観は急に戸惑いをし始め...
寺田寅彦 「映画の世界像」
...その暑いための不愉快さが戸惑いをして壁面の絵のほうにぶつかって行ったせいもあるであろう...
寺田寅彦 「からすうりの花と蛾」
...とはいえひとたび彼と得心すれば男の驚きも戸惑いへと変わる...
アーサー・コナン・ドイル Arthur Conan Doyle 大久保ゆう訳 「緋のエチュード」
...勝手違いなところへ戸惑いをして来たような気がして...
徳田秋声 「黴」
...戸惑いをしてしまったものですから...
中里介山 「大菩薩峠」
...戸惑いをしたものとしか受取れない...
中里介山 「大菩薩峠」
...その人品風采を篤(とく)と見定めて、「お医者さんだな」本来、お医者さんだの、坊さんだのというものの姿は、そんなに人を気味悪がらせるものでないが、さて、この辺にはあまり見かけないお医者さんだが、何の用で、こんなところへさまよい込んだのか、この近所の病家先へでも来て戸惑いをしたのか、それとも、途中、医者の不養生で急病を起し、医者を救うべき医者がないために、ひとり苦しんでいるのかと思えばその鼾は至極泰平であって、苦痛だの、屈託の色なんぞも見えないし、いささか――ではない、かなり多分の酒気を帯びているところを見ると、これはてっきり病家先で、全快祝いかなにかに呼ばれて、いい心持に食(くら)い酔って、戸惑いをして、ここへ転げ込んで寝込んでしまったものだ、天下は泰平だわい、と青嵐も感心はしたが、このままでさし置くわけにはゆかない...
中里介山 「大菩薩峠」
...だから戸惑いました...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「王冠の重み」
...戸惑いを隠さなかったのは...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「王冠の重み」
...ある者は悲鳴をあげて逃げ惑い...
武者金吉 「地震なまず」
...お居間の御簾の前などにお席をいただくことかと私はちょっと戸惑いがされます...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...全家中は恐れ惑い...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...まことに当惑いたしまする」まだ童形(どうぎょう)をしている蘭丸なので...
吉川英治 「新書太閤記」
...その戸惑いを叱りつけるように...
吉川英治 「宮本武蔵」
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