...あんな情けない悲しい気がします...
伊藤野枝 「書簡 大杉栄宛」
...この八年の間――私の誇りにして喜んでゐたその女が――僞善者、嘘つき――そればかりならいゝが、もつと情けない、情けない罪人なのだ――えゝ汚らはしい(ノラは默つてじつと男を見てゐる)お前は私の幸福といふものを全く打ち壞してしまつた...
ヘンリック・イブセン Henrik Ibsen 島村抱月譯 「人形の家」
...彼はもう情けない事にはすつかり息が切れてゐたが...
スティーヴンスン 佐藤緑葉訳 「帽子箱の話」
...なんとも言えぬ情けない気持でございました...
橘外男 「蒲団」
...なんとも言われない情けない心持ちになってしまった...
寺田寅彦 「柿の種」
...どうしてこうも情けない...
寺田寅彦 「からすうりの花と蛾」
...情けないことだ」伊太夫はなんとも言えない悲しそうな歎息であるのに...
中里介山 「大菩薩峠」
...するとまた日本の社会のありさまが目に浮んでたのもしくない情けないような心持になる...
夏目漱石 「倫敦消息」
...「何が妙なことなんだ」「あんな良い女が、この世の中に生きて居ると思うと、あっしはこう、張合のあるような、情けないような、死に度くなるような気持になりますよ」「それが妙なことかえ」「外にもまだありますがね」「どんな事?」「下女のお友が、徳利の酒を下水へ捨てて居るから、私はあわてて止めましたよ、半分はもう捨てられてしまいましたが、まだ残って居るでしょう」八五郎は懐中から白い伊万里焼の徳利を出して平次に見せるのでした...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...『ええ、情けない、おれはまたクリミヤか土耳古へでも押しわたつて、金銀をうんと分捕つて、しこたま身代を拵らへてから、お前のとこへ帰つて来ようと思つてゐたのになあ、おれの別嬪さん...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogoli 平井肇訳 「ディカーニカ近郷夜話 前篇」
...床に臥しているのは情けない...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「王冠の重み」
...やがて一階へ降りてきたフェンウィックは情けない姿だった...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「謎の四つ指」
...長者何とも情けない...
南方熊楠 「十二支考」
...情けないじゃありませんか...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...何事もあさはかになって天人の心を動かすような音楽というものはもはや地上からなくなってしまったのは情けない」とお言いになり...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...おまえたちにはわからねえのは情けない...
山本周五郎 「長屋天一坊」
...わたくしの聞き及びはありません」「情けないことかな...
吉川英治 「三国志」
...――その美しい容貌(きりょう)を持って生れながら何という情けない心だろう...
吉川英治 「牢獄の花嫁」
便利!手書き漢字入力検索