...(七月八日午前)十 蚊帳1蚊帳は艶なもの、悲しいもの、親味の深い懷しいものである...
阿部次郎 「三太郎の日記 第一」
...ひい、と泣いて雲に透(とお)る、……あわれに、悲しげな、何とも異様な声が、人々の耳をも胸をも突貫(つきつらぬ)いて響いたのである...
泉鏡花 「霰ふる」
...……恥もあらず誉(ほまれ)もあらずいたずらに生くる者らの悲しき魂……...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...互(たがい)に人の悲しみを感じながら...
萩原朔太郎 「郷愁の詩人 与謝蕪村」
...石の重みのため胸まで水に浸っていながら進んでゆく船が何か人間の悲痛の姿のようにおもえた...
原民喜 「夢と人生」
...今そこにいらっしゃいます」女王が強い悲しみを示された...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「王冠の重み」
...この人の世の辛い苦しい切ない悲しいことどもを...
正岡容 「寄席行燈」
...わが魂の悲泣を聴き分けていでもするかのように――雪之丞は...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...悲しみがどこか心のそこに巣喰うて居ると何か事があるたびにそれが動き出して来る...
宮本百合子 「悲しめる心」
...悲しいが思うようになった...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...早くお出かけになりませんか」と夫人の弟たちは急がせながらも涙をふいて悲しい肉親たちをながめていた...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...執念深い畜生の心を悲しまざるをえなかつた...
室生犀星 「鉄の死」
...若武者の悲しき初陣!戦いのための残酷なる稽古!(ウェルギリウス)(c)わたしは剣術がその目的とするところになかなか役に立つことをよく知っている(ティトゥス・リウィウスが伝えるところによると...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...新しく工夫せられたもので美しいものは悲しいかな極めて少い...
柳宗悦 「地方の民藝」
...その悲戀を歌つたのがヒエツキ節であります...
吉川英治 「折々の記」
...或いはひとつに或いは重なり合っている姿は悲痛を極める...
吉川英治 「新書太閤記」
...マダム・レムブルグの毛深い部屋でこの陳独秀の悲壮な報告が終って...
吉行エイスケ 「地図に出てくる男女」
...その大慈悲心をもって心のままに衆生(しゅじょう)を救うのである...
和辻哲郎 「日本精神史研究」
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