...君は私がこうして筆取るそのもくろみに悪意のない事だけは信じてくれるだろう...
有島武郎 「生まれいずる悩み」
...貴女にお返しします」ジュリアは一郎に悪意のないのを認めたらしく...
海野十三 「恐怖の口笛」
...少しも悪意のない男のそういう過失を...
江戸川乱歩 「湖畔亭事件」
...これに類した一見悪意のない種々の試みをし...
江戸川乱歩 「探偵小説の「謎」」
...その顔はいかにも悪意のない...
スティーヴンスン Stevenson Robert Louis 佐々木直次郎訳 「ジーキル博士とハイド氏の怪事件」
...少くとも彼女の心に悪意のない事はよく解つてゐるけれど...
種田山頭火 「行乞記」
...他に悪意のない無作法な様子で明らさまに見せつけていたので...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...いらいらした乱暴なしかもまだ悪意のないやり方で興がっていた――押したり押されたり...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...決して悪意のないことを平次も知り悉(つく)していたのです...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...悪意のない自分らへの嘲笑が口をついて出た...
本庄陸男 「石狩川」
...悪意のない軽蔑の眼で彼を見物したがるのだ...
牧野信一 「明るく・暗く」
...そして、大森氏によって指摘されているこの一種の現実歪曲の根源はと見れば、それは微妙にも当の大森氏が立派な思想は生活とはなれていてもそれとして人々を益すると云っている、微塵悪意のない、だがそこから実際には沢山の抽象論、機械的解釈を発生させる罅(ひび)の間から、立ちのぼって来ているのである...
宮本百合子 「落ちたままのネジ」
...もしやお母さまの御病気がお悪いのじゃございませんかしら」悪意のないことは云うまでもない...
山本周五郎 「つばくろ」
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