...永久に臆病なる我々は我々の中にある自然にさへ罪悪の意識を抱いてゐる...
芥川龍之介 「僻見」
...そこに善悪の観念の交叉する余地はないはずである...
伊丹万作 「戦争責任者の問題」
...あきらかに善人、女将あるいはギャング映画の影響うけて、やがて、わが悪の華、ひそかに実現はかったのではないのか、そんな大型の証拠、つきつけられては、ばからしきくらいに絶体絶命、一言も弁解できないじゃないか、ばかだなあ、田舎の悪人は、愛嬌(あいきょう)あって、たのもしいね...
太宰治 「二十世紀旗手」
...かれはさもさも驚いたように、世界にもまだこんなところがあるかというように、日が暮れさえすれば真暗な都会、ともしび一つ見えないやみの仏陀の都会――そういう風に一面は驚き、一面はその神秘を讃嘆するように書いてあったが、江戸の大都会だって、やっぱりそうだったんだからね』『辻斬の町、泥棒の町、罪悪の町、妖怪の町だったんですね』『去年に八十五で死んだ伯父の話では、それでもところどころに、今の三越のある少し手前ぐらいのところに二文ぐらいで食えるそば屋――それも屋台か、でなければ他の店の片隅でも借りたような小さな店があって、そこにかすかに灯がともっていたということだよ...
田山花袋 「日本橋附近」
...そもそもこれから嫌悪の念がきざし始めたのである...
ドストエーフスキイ 中山省三郎訳 「カラマゾフの兄弟」
...クリストフは憎悪の眼でいどみかかり...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...そうした嫌悪の情がアンナにはことに強かったわけは...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...憎悪の眼が被告の方へ引かれていって...
豊島与志雄 「電車停留場」
...この謎(なぞ)の男は前足を罪悪のうちにつっ込み...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...罪悪の棍棒(こんぼう)をもって社会の秩序を攻撃する...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...十悪の法然房愚癡(ぐち)の法然房が...
中里介山 「法然行伝」
...この一様なる善悪の標準をもって好き嫌いを測るべきものでない...
新渡戸稲造 「自警録」
...(あるいは原注:)キケロ『善と悪の究極について』第五巻より引用そのときピーソーがこう言った...
デイビッド・ヒューム David Hume 井上基志訳 「人間本性論(人性論)」
...(二)もし最悪の場合...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...ただ眼だけが憎悪の光を放っていた...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...悪の跳梁(ちょうりょう)はもちろん迷い子も二...
吉川英治 「私本太平記」
...罪悪の根拠が畢竟(ひっきょう)滅尽せらるべきものであるならば...
和辻哲郎 「日本精神史研究」
...「慈悲」の前に善悪の軽んぜられることもまたそれである...
和辻哲郎 「日本精神史研究」
便利!手書き漢字入力検索
この漢字は何でしょう??