...規定(おきまり)の授業は一時間前に悉皆(しつかい)終つた...
石川啄木 「雲は天才である」
...当区内の鵞口瘡(がこうそう)は此(この)六日を以(もっ)て悉皆(しっかい)主治したとの話をした十二日午前警視庁の巡回獣医来る 健康診断のためである...
伊藤左千夫 「牛舎の日記」
...その代り悉皆(すっかり)こっちの味方になって...
江見水蔭 「悪因縁の怨」
...先刻(さっき)の騒ぎで悉皆(すっかり)壊れているかもしれない...
江見水蔭 「月世界跋渉記」
...源平盛衰記と太平記とだけはが悉皆(すつかり)暗記してゐる...
薄田泣菫 「茶話」
...最早(もう)悉皆(すっかり)緑(みどり)になった...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...月なき今宵色ねびし窓帷(ぎぬ)の吐息する此の古城なる図書室の中央の遠き異国の材もて組める残忍の相ある堅き牀机にありし日よりの凝固せる大気の重圧に生得(しやうとく)の歪(ひづみ)悉皆消散せる一片の此の肉体を枯坐せしめ勇猛(ゆうみやう)なく效(かひ)なき修道なれどなほそが為に日頃捨離せる真夜中の休息を貪りて...
富永太郎 「深夜の道士」
...太鼓(たいこ)が撥(ばち)と共(とも)にぽつさりと置(お)かれて悉皆(みんな)窮屈(きうくつ)な圍爐裏(ゐろり)の邊(あたり)に聚(あつま)つた...
長塚節 「土」
...いや本當(ほんたう)に俺(お)ら聽(き)かねえだから」彼(かれ)は髮(かみ)が餘計(よけい)に濕(うるほ)ひを増(ま)して悉皆(みんな)の耳(みゝ)の底(そこ)に徹(とほ)る程(ほど)呶鳴(どな)つて見(み)せた...
長塚節 「土」
...悉皆(すつかり)分つたためしはない...
中原中也 「山羊の歌」
...知れているところでも悉皆(すっかり)は私に話す事ができなかった...
夏目漱石 「こころ」
...苔(こけ)の色(いろ)が悉皆(すつかり)出(で)た事(こと)」と平生に似合はぬ観察をして...
夏目漱石 「それから」
...仕舞(しまい)にもう悉皆(すつかり)癒(なほ)つたから歸(かへ)る...
夏目漱石 「門」
...今の有様を見れば我は悉皆(しっかい)短にして彼は悉皆長なるがごとし...
福沢諭吉 「学問のすすめ」
...悉皆(しっかい)然るにもあらず...
福沢諭吉 「学問のすすめ」
...かくて妾は爆発物の原料たる薬品悉皆(しっかい)を磯山の手より受け取り...
福田英子 「妾の半生涯」
...一族悉皆(しっかい)でもわずか百五十騎という小勢で起ったその勇気は驚目にあたいする...
吉川英治 「私本太平記」
...それも悉皆(すっかり)出来(でき)あがったので...
吉川英治 「新編忠臣蔵」
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