...然し此男の悄然として居る事は事實だから仕樣がないのだ...
石川啄木 「雲は天才である」
...母は水汲に出て行つた後で私は悄然と囲炉裏の隅に蹲つて...
石川啄木 「二筋の血」
...正造も悄然として項垂れていた...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...悄然と故郷に帰って行く労働者を見るだろう...
ピョートル・アレクセーヴィチ・クロポトキン Pyotr Alkseevich Kropotkin 大杉栄訳 「青年に訴う」
...天隨悄然として溜息をもらせるは...
大町桂月 「水戸觀梅」
...そして悄然として髑髏(どくろ)を見下ろした...
チェスタートン Chesterton 直木三十五訳 「作男・ゴーの名誉」
...お前も達者でいなよ」ムク犬は悄然として...
中里介山 「大菩薩峠」
...彼は悄然と坂の上に一人で立つてゐる...
萩原朔太郎 「芥川龍之介の死」
...黒く悄然と、さびしさうな影をひいて...
萩原朔太郎 「田端に居た頃」
...夕殿蛍飛思悄然という句が...
長谷川時雨 「田沢稲船」
...全く君は悄然とした姿で消えて行ったからね...
原民喜 「四五ニズム述懐」
...母と二人で悄然と寂しい井戸掘りの光景を眺めながら...
牧野信一 「毒気」
...これも立膝をだいて悄然として坐っていた...
室生犀星 「後の日の童子」
...悄然と、腰縄で首うなだれてゆく小柄な男――やはり久助にちがいなかった...
吉川英治 「大岡越前」
...にわかに片隅へ寄って悄然としていたのだ...
吉川英治 「剣難女難」
...一隊の武士が悄然と頸垂(うなだ)れ勝ちに跫音も湿って帰って来た...
吉川英治 「剣難女難」
...この寒空を孤影悄然と歩いている様子をいぶかしげに打眺めて...
吉川英治 「三国志」
...もすこし早く、あなたと、お打合せが出来ていたらなあ」淋しげな微笑をしいて見せながら、共に悄然と、帰って行った...
吉川英治 「私本太平記」
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