...物思はし氣に悄然と坐つて裁縫(しごと)をしてゐたお利代は...
石川啄木 「鳥影」
...悄然と口をつぐんだが...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...東京行の汽車の隅に悄然として腰を掛けてゐた...
田中貢太郎 「あかんぼの首」
...悄然と力ない歩調(あしどり)をしているかと思うと...
モーリス・ルヴェル Maurice Level 田中早苗訳 「碧眼」
...爭ひかねて悄然とトアスうしろに引き返す...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...彼は孤影悄然とペテルブルグへ立ち去ったのだった...
ドストエーフスキイ 神西清訳 「永遠の夫」
...怒っているか? 恋しがっていたか? 悄然としているこの姿を見せてやろう...
直木三十五 「南国太平記」
...平次は悄然として外に出ました...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...「何といふ孤獨の男だらう!」黒く悄然としてゐる友の背後姿をみてゐる中に...
萩原朔太郎 「田端に居た頃」
...(とぼとぼと歩き出す)おはま (悄然として歩き出し...
長谷川伸 「瞼の母 二幕六場」
...灰色の『すゐんとん万国史』等が悄然と積み重ねてあるばかりで...
牧野信一 「余話」
...灰色のすゐんとん万国史等が悄然と積み重ねてあるばかりで...
牧野信一 「余話(秘められた箱)」
...それで学校やめさせるような卑劣なことをやるならやればいい」「なんて生憎なんだろう……」歎息するゆき子の悄然とした雀斑(そばかす)のある顔を見ると...
「鏡の中の月」
...妻をして悄然と自分の影に佇ませずに...
横光利一 「蛾はどこにでもゐる」
...助光は悄然と去って行った...
吉川英治 「私本太平記」
...旧家の郷士という家構え、うす暗い小座敷に、悄然と、肩を落としている窶(やつ)れた老武士があった、七郎左衛門である...
吉川英治 「新編忠臣蔵」
...数右衛門は、悄然となった...
吉川英治 「※[#「さんずい+鼾のへん」、第4水準2-79-37]かみ浪人」
...それから、悄然と、どこへか落ちて行った...
吉川英治 「松のや露八」
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