...一旦死んだ人間が生きているという事が抑(そもそ)も間違いの原因だったのです」男は語り終ると悄然として首を垂れた...
大倉※[#「火+華」、第3水準1-87-62]子 「鉄の処女」
...――あることはあるんだけれど――」と云って悄然と三越を出た...
大倉※[#「火+華」、第3水準1-87-62]子 「梟の眼」
...俳小屋の机の前に坐つてゐる私は愈々孤影悄然としてをる...
高浜虚子 「椿子物語」
...爭ひかねて悄然とトアスうしろに引き返す...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
... 110心ならずも悄然と牧場あとに退(の)く如し...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...彼は悄然としてもどって來た...
アネッテ・フォン・ドロステ=ヒュルスホフ Annette von Droste=Hulshoff 番匠谷英一訳 「ユダヤ人のブナの木」
...怒っているか? 恋しがっていたか? 悄然としているこの姿を見せてやろう...
直木三十五 「南国太平記」
...お前も達者でいなよ」ムク犬は悄然として...
中里介山 「大菩薩峠」
...固より例(れい)の様(やう)な元気はなく悄然とした問ひ振りであつた...
夏目漱石 「それから」
...前に悄然と立っている隣組長にすすめた...
原民喜 「原爆回想」
...母と二人で悄然と寂しい井戸掘りの光景を眺めながら...
牧野信一 「毒気」
...灰色の『すゐんとん万国史』等が悄然と積み重ねてあるばかりで...
牧野信一 「余話」
...悄然として床板に瞳を凝らしている...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「悩みのひととき」
...悄然とした彼のようすには同情を唆られた...
山本周五郎 「柳橋物語」
...一隊の武士が悄然と頸垂(うなだ)れ勝ちに跫音も湿って帰って来た...
吉川英治 「剣難女難」
...郡兵衛は悄然としたが...
吉川英治 「新編忠臣蔵」
...そして悄然と、二条から戻って来る頃、夜は白みかけていた...
吉川英治 「源頼朝」
...ただ、行燈(あんどん)の下に、下男の助市が、挟(はさ)み筥(ばこ)へよりかかって、孤影悄然と、よだれをたらして眠っていた...
吉川英治 「宮本武蔵」
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