...自分は今この疲れた頭をかかへて、悄然として、靜かに、ほがらかに、氣高い海と山との夕暮に對立してゐる...
阿部次郎 「三太郎の日記 第三」
...船頭は、悄然として再び、『お気の毒でしたね...
石井研堂 「大利根の大物釣」
...何となく悄然としてゐるところへ樹明君から呼び出しの使者が来た...
種田山頭火 「其中日記」
...そうして悄然と打ち沈んでいるのを面と向って見ると...
近松秋江 「霜凍る宵」
...140今純白の垂絹に面を掩ひ悄然と...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...爭ひかねて悄然とトアスうしろに引き返す...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
... 200心を蝕し悄然と...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...彼は孤影悄然とペテルブルグへ立ち去ったのだった...
ドストエーフスキイ 神西清訳 「永遠の夫」
...髪の毛を剃られたサムソンの如くに悄然と...
中島敦 「南島譚」
...「何といふ孤獨の男だらう!」黒く悄然としてゐる友の背後姿をみてゐる中に...
萩原朔太郎 「田端に居た頃」
...悄然とした露子に相対した時...
浜尾四郎 「悪魔の弟子」
...得意満面、ほくそ笑んでいる※から、蜜柑の代金をうけとって、悄然と、店を出た...
火野葦平 「花と龍」
...そして悄然と家へ帰ったが余りに馬鹿らしい事すぎて良人に話しもならないのである...
細井和喜蔵 「女給」
...アカシヤの並木の下を彼は悄然として叔父の家に歸つた...
水上瀧太郎 「貝殼追放」
...妻をして悄然と自分の影に佇ませずに...
横光利一 「蛾はどこにでもゐる」
...藤甲蛮(とうこうばん)一すでに国なく、王宮もなく、行くに的(あて)もない孟獲(もうかく)は、悄然として、「どこに落着いて、再挙を図ろうか」と、周囲の者に諮(はか)った...
吉川英治 「三国志」
...悄然と退がって行った...
吉川英治 「私本太平記」
...――お磯っ」「はい……」後ろに来て、悄然としていた...
吉川英治 「べんがら炬燵」
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