...日本の大きい山椒魚は、これは世界中でたいへん名高いものだそうでございまして、私が最近、石川千代松博士の著書などで研究いたしましたところに依(よ)れば、いまから二百年ばかり前に独逸(ドイツ)の南の方で、これまで見た事も無い奇妙な形の化石が出まして、或るそそっかしい学者が、これこそは人間の骨だ、人間は昔、こんな醜い姿をして這(は)って歩いていたのだ、恥を知れ、などと言って学界の紳士たちをおどかしたので、その石は大変有名になりまして、貴婦人はこれを憎み、醜男は喝采(かっさい)し、宗教家は狼狽(ろうばい)し、牛太郎は肯定し、捨てて置かれぬ一大社会問題にさえなりかけて来ましたので、当時の学界の権威たちが打ち寄り研究の結果、安心せよ、これは人間の骨ではない、しかしなんだかわからない、亜米利加(アメリカ)の谷川に棲(す)むサンショウウオという小動物に形がよく似ているが、けれども、亜米利加にいるそのサンショウウオは、こんなに大きくはない、両者の間には、その大きさに於いて馬と兎くらいの相違がある...
太宰治 「黄村先生言行録」
...ふと仏前を見たら、――御供物料、樹明――の一封がある、恥を知れ、々々...
種田山頭火 「其中日記」
...はげしき軍旅の中にして汝ら互に恥を知れ...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...かなた同じくアイアースその友僚に叫び曰ふ、『アカイア勢よ、恥を知れ、道は明か、討死か、或はおのれの救援と舟より敵の驅逐のみ...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...「これが、五年目で逢った旧友のすることか、稲富、恥を知らぬか」「旧友? ――成程(なるほど)そんな事もあったな、井上、だが、今では父親同士が殺し合った、不倶戴天の敵ではないか、俺と貴公の間にはもう、友情など言うものは無い筈だ」「友情は無くとも恥はあるだろう、――其方も武士なら、妹を使って、『井上流砲術秘巻』を奪わせて、平気で居られるか」「――――」「二た月後に迫る、砲術の御前試合に勝ち度さに、妹に売女(ばいた)の真似(まね)をさせ、相手の『秘巻』を奪い取って済むと思うか、恥を知れッ、犬奴(め)ッ」井上半十郎は縛られたまま、縁の上ににじり上って、涙を含んだ悲憤の睚(まなじり)を裂きました...
野村胡堂 「江戸の火術」
...お涙金とは恥を知れ...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「煉獄」
...恥を知れ」「そんな高い声で...
山本周五郎 「思い違い物語」
...卑怯者とか恥を知れとか喚いておったが...
山本周五郎 「思い違い物語」
...恥を知れ...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...そのあいだ内蔵助は「恥を知れ」とか...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...恥を知れ」「なにを怒ってるんだ」「あれです」捕方の一人が...
山本周五郎 「山彦乙女」
...恥を知れ」「使者を送って...
吉川英治 「上杉謙信」
...恥を知れッ」それきり顔をひっこめてしまった...
吉川英治 「新書太閤記」
...恥を知れ、この落第書生め、仁義の皮をかぶッた偽者(にせもの)め」一方の林冲は、なお罵(ののし)りつづけている...
吉川英治 「新・水滸伝」
...恥を知れ」「おう秦(しん)総監か...
吉川英治 「新・水滸伝」
...降伏を」「はい」「恥を知れ...
吉川英治 「日本名婦伝」
...恥を知れといったな...
吉川英治 「宮本武蔵」
...権之助からも恥を知れとは...
吉川英治 「宮本武蔵」
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