...余之を見て思へらく眼を悦ばす美麗なる色素や嗅覚を楽ましむる馥郁たる香料は化学工業によりて数多く製造されつゝあれども味覚に訴ふる製品はサッカリンの如き恠し気なる甘味料を除きては殆んど稀なり...
池田菊苗 「「味の素」発明の動機」
...万葉詩人の「詠水江浦島子歌」に曰く、春日之、霞時爾、墨吉之、岸爾出居而、釣船之、得乎良布見者、古之事曽所念、水江之、浦島児之、堅魚釣、鯛釣矜、及七日、家爾毛不来而、海界乎、過而榜行爾、海若、神之女爾、邂爾、伊許芸※、相誂良比、言成之賀婆、加吉結、常代爾至、海若、神之宮乃、内隔之、細有殿爾、携二人入居而、老目不為、死不為而、永世爾、有家留物乎、世間之、愚人之、吾妹爾、告而語久、須臾者、家帰而、父母爾、事毛告良比、如明日、吾者来南登、言家礼婆、妹之宮答久、常世辺爾、復変来而、如今、将相跡奈良婆、此篋、開勿勤常、曾已良久爾、堅目師事乎、墨吉爾、還来而、家見跡、宅毛見金手、里見跡、里毛跡金手、恠常、所許爾念久、従家出而、三歳之間爾、墻毛無、家滅目八跡、此筥乎、開而見手歯、如本来家者将有登、玉篋小披爾、白雲之、自箱出而常世辺、棚引去者、立走、叫袖振、反側足受利四管、頓、情消失奴、若有之、皮毛皺奴、黒有之、髪毛白斑奴、由奈由奈波、気左倍絶而、後遂、寿死祈流、水江之、浦島子之、家地見、此物語のはじめて、我国史に見えしは、『日本書紀』なる可し...
高木敏雄 「比較神話学」
...五日、癸卯、霽、鶴岳の別当公暁、宮寺に参籠して、更に退出せられず、数ヶの祈請を致され、都て以て除髪の儀無し、人之を恠しむ、又白河左衛門尉義典を以て、大神宮に奉幣せんが為、進発せしむ、其外諸社に使節を立てらるるの由、今日御所中に披露すと云々...
太宰治 「右大臣実朝」
...長竿恠(ちょうかんかい)」皆が手を叩いて囃(はや)したてた...
田中貢太郎 「太虚司法伝」
...は恠(あやし)みながらその声をしるべにしてあがって往くと...
田中貢太郎 「美女を盗む鬼神」
...今度は又現在の各卦の卦名が果して本來のものであるか如何かゞ大分恠しくなつてくる...
内藤湖南 「易疑」
...細君はどうしてそんなに疲れたのかと寧ろ恠しまれるほど...
永井壮吉 「人妻」
...浪人体(てい)にて恠敷(あやしく)見受候分は無用捨(ようしやなく)召捕り...
中里介山 「大菩薩峠」
...「逆に推測して房中秘密の中に神異霊恠の解釈を求むるに至つた」のである...
中谷宇吉郎 「古代東洋への郷愁」
...利根対岸の堤を崩した恠談(かいだん)を伝えている...
中山太郎 「獅子舞雑考」
...このことは或はむしろ恠しむに足らぬであらう...
波多野精一 「時と永遠」
...秋蒔(あきまき)の麦までおろしてあるという恠異(かいい)に遭遇することになった...
久生十蘭 「うすゆき抄」
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古道人 「怪談牡丹灯籠」
...晏子恠而問レ之...
司馬遷 箭内亙訳註 「國譯史記列傳」
...何故是(これ)が不用に帰したかを恠(あや)しむばかりであるが...
柳田国男 「木綿以前の事」
...そうしてモチヒがイヒの一種だという推測もやや恠(あや)しいのである...
柳田国男 「木綿以前の事」
...醜恠(しゅうかい)なる蔭の事情がなかなか多かったように思う...
柳田国男 「雪国の春」
...恠喜(かいき)して温室を建てられた...
和辻哲郎 「古寺巡礼」
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