...彼女の壮大なる虚栄――はけ口のないロマンチシズムが立てこもる、虚栄という城砦は破壊され、その廃墟の上に、瞋恚と憎悪が、旗をたてたのだった...
リットン・ストレチー Lytton Strachey 片岡鉄兵訳 「エリザベスとエセックス」
...けれども腹綿は恚忿(いふん)と殺意のために煮えくりかえっているらしく眼がしらや言葉のはしはしが児蛇の舌のようにちろちろ燃えあがっているのが私にさえたやすくそれと察知できるくらいに...
太宰治 「ダス・ゲマイネ」
...おろそかなる味はひ落ちぶれたる衣には瞋恚(しんい)の思ひ浅からず...
谷崎潤一郎 「少将滋幹の母」
...嫉妬と恚りとで半ばもみくちやにされた...
田山花袋 「道綱の母」
...片時もその苦しさをやすめることが出來ないやうな生活と比べたなら? あのやうな無理な壓制が行はるゝやうな生活と比べたなら? またその身が不斷にやつてゐるやうな愼恚と嫉妬の生活と比べたなら? 大勢の妃を竝べて...
田山花袋 「道綱の母」
...……そうして心の中は瞋恚(しんい)の焔(ほのお)に燃えたり...
近松秋江 「霜凍る宵」
...405われに抗する禍はかくと知るべし、アテーネー、われヘーレーに對しては怒らず、瞋恚催さず、我の計畫するところ破るは*彼の習のみ』405 月と日る十年とは滿九年の意、九は神聖の數と曰はる...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
... 60瞋恚は滿たすべきならず...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...君に向ひて恐るべき瞋恚を起す衆神の多くの子らは戰へり...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...瞋恚(しんい)の焔とでも云うのか...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...慚恚(ざんい)以て屠腹(とふく)して死するに到り...
徳富蘇峰 「吉田松陰」
...「瞋恚というのは...
中里介山 「大菩薩峠」
...常に憤ほろしい恚怒に燃え...
萩原朔太郎 「宿命」
...この世のありとあらゆる冷酷と瞋恚がこの顔一つに凍りついたかに見えたのである...
久生十蘭 「魔都」
...瞋恚(しんい)して欲せじ...
三木清 「親鸞」
...諸恚毒(いどく)を滅し得...
南方熊楠 「十二支考」
...恚(いか)りを息(やす)め剣を納めた時俄然(がぜん)王驚き寤(さ)めた...
南方熊楠 「十二支考」
...みづからの嗔恚を戒めらるる歌の此集に多きを見れば...
與謝野禮嚴 「禮嚴法師歌集」
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