...嗔恚の祟(たた)りはそこにもある...
芥川龍之介 「俊寛」
...嗔恚(しんい)に燃(も)えなかつたためしはない...
芥川龍之介 「藪の中」
...其落膽と失望とは言語に絶えて憐れなさまであつたが心には聊かの嗔恚もない...
伊藤左千夫 「古代之少女」
...瞋恚と煩悶と嫉妬と爭鬪とで滿たされた生活とこの高遠な普通ではわからない學問にのみ精進してゐる生活と...
田山花袋 「道綱の母」
...何んなに人間に悲哀があつても――その愼恚と嫉妬とのために身も魂も亡びさうになるやうなことがあつても...
田山花袋 「道綱の母」
...私には馴染のふかい例の瞋恚(しんい)のまなざしでわたしの眼を睨みつけて...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「妻」
...120やがて未曾有のおほいなる憤怒瞋恚は恐るべく...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...之を瞋恚の言句もて叱り罵る者あらば...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
... 60瞋恚は滿たすべきならず...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...斯くの如くにして閣下の内閣を夢想したる屬僚の絶望と憤恚とは...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...九旬の会期唯だ怒罵忿恚の声を以て喧擾したるに過ぎざりき是れ他なし...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...瞋恚の爪を私の胸に立てようとしていたのだ...
豊島与志雄 「理想の女」
...大千世界を焼き亡ぼすの瞋恚の炎といえども...
中里介山 「大菩薩峠」
...瞋恚と憎悪のいりまじったようなすさまじい眼ざしでこちらを睨んでいた...
久生十蘭 「海豹島」
...瞋恚(しんい)常なし...
南方熊楠 「十二支考」
...瞋恚(しんい)の眼(まなこ)で読み下している人――それは寮の主(あるじ)...
吉川英治 「剣難女難」
...藤夜叉はすぐ男の無情に挑(いど)まれて瞋恚(しんい)の炎(ほむら)になるのであった...
吉川英治 「私本太平記」
...理性と瞋恚(しんい)のあいだに迷いぬく姿であった...
吉川英治 「私本太平記」
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