...自分の母を恋うる気持はただ漠然(ばくぜん)たる「未知の女性」に対する憧憬(どうけい)...
谷崎潤一郎 「吉野葛」
...たれを恨み、たれを恋う、さる念は形をなす余裕(ひま)もなくて、ただ身をめぐる暗黒の恐ろしくいとわしく、早くこのうちを脱(のが)れんと思うのみ...
徳冨蘆花 「小説 不如帰」
...ふいに風が襲って人麿の妻恋う心をこなごなに吹き散らしてしまった...
永井隆 「ロザリオの鎖」
...お銀様は人を恋うて泣く...
中里介山 「大菩薩峠」
...人恋うは聖母に跪く為め...
夏目漱石 「幻影の盾」
...冬の街路に炉辺(ろへん)の燈灯(ともしび)を恋うる蕪村は...
萩原朔太郎 「郷愁の詩人 与謝蕪村」
...男が恋うることなしに親しく交わりえられる婦人の一人だと私は思っていた...
長谷川時雨 「樋口一葉」
...――恋草を力車に七車、積みて恋うらく、わが心はも...
林芙美子 「新版 放浪記」
...一層高い海抜を恋うて...
正木不如丘 「健康を釣る」
...故国の蜀を恋う者が多く...
吉川英治 「三国志」
...それと老舌は童味を恋う...
吉川英治 「舌のすさび」
...北国の庶民は平和を恋うこと久しかった...
吉川英治 「新書太閤記」
...母乳(ちち)を恋う良人(おっと)の分身をのせていた...
吉川英治 「親鸞」
...そしてまだ乳恋うさかりの牛若と...
吉川英治 「源頼朝」
...人肌を恋う嬰児(あかご)のような...
吉川英治 「宮本武蔵」
...のち貴妃を恋うのあまり...
吉川英治 「宮本武蔵」
...武蔵を恋う痛いような物思いが...
吉川英治 「宮本武蔵」
...命よりも愛し恋うた「葉子」――それが...
蘭郁二郎 「夢鬼」
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