...そら米の秋と思うがままの月日を重ねて小吟も十四になって美しゅう化粧なんかするもんで山里ではそれほどでなくっても殊更に目立って之の女を恋うる人が限ない...
井原西鶴 宮本百合子訳 「元禄時代小説第一巻「本朝二十不孝」ぬきほ(言文一致訳)」
...悠久(ゆうきゅう)なるふるさとを恋うる音色であった...
江戸川乱歩 「影男」
...雪子は昔を恋うるあまり...
谷崎潤一郎 「細雪」
...予覚してでもいたのでしょうか?私のナオミを恋うる心は加速度を以(もっ)て進みました...
谷崎潤一郎 「痴人の愛」
...人恋うは聖母に跪く為め...
夏目漱石 「幻影の盾」
...母のふところを恋うる郷愁の子守唄である...
萩原朔太郎 「郷愁の詩人 与謝蕪村」
...「むかしを恋うる歌」女が言った...
フィオナ・マクラウド Fiona Macleod 松村みね子訳 「約束」
...昔神がここへ乗り捨てた馬が故郷を恋うて顧み嘶くのだそうで...
南方熊楠 「十二支考」
...八丈の島人女を恋うても物書かねば文贈らず...
南方熊楠 「十二支考」
...(釜戸の火を恋うるかのように)すぐ近くまで...
山本周五郎 「山彦乙女」
...それと老舌は童味を恋う...
吉川英治 「舌のすさび」
...北国の庶民は平和を恋うこと久しかった...
吉川英治 「新書太閤記」
...晩春 家郷に別れて いま新秋朝(あした)に家を想い 夜には妻を恋う恨むらく 身に双翼のなきことを天風よ 吾を憐(あわれ)んで水涯(すいがい)を渡せ「いや...
吉川英治 「新・水滸伝」
...母の肌を恋うような血しおの淋しさだ...
吉川英治 「親鸞」
...義経を恋いに恋う想いを...
吉川英治 「随筆 新平家」
...一人の弦之丞を恋う...
吉川英治 「鳴門秘帖」
...そしてまだ乳恋うさかりの牛若と...
吉川英治 「源頼朝」
...彼らは現世を否定して彼岸の世界を恋うる心を持たなかった...
和辻哲郎 「日本精神史研究」
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