...卑怯であるとは思いませぬ」とマレウスキー中尉は引込んでいなかった...
海野十三 「蠅」
...物に怯(おび)えた魚のやうな表情をしてゐる...
薄田泣菫 「茶話」
...現実から遊離した卑怯(ひきょう)な人ですね...
太宰治 「惜別」
...人格者たちまち変じて卑怯者(ひきょうもの)になっちまったってね...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「かもめ」
...然らばわが子戰の場より歸り、血と塵にまみれし鹵獲もたらして母の喜たらん時 480「父にも優る英豪」と讃して人は稱ふべし』しかく宣んして愛妻の手中に愛兒抱(だ)きとらす、涙ながらも微笑みて香焚きこむる胸の中、愛兒抱くを眺めつつ、憐憫そゞろ堪え難く、手を延(の)し妻をかい撫でて慰め語るヘクトール、 485『不便(ふびん)の者よわが爲めに悲み過すこと勿れ、何らの敵も運命に背きて我を倒し得ず、*一たび生を享くる後、勇怯を問はず、人間のいかなる者も運命を逃るべからず、ああ思へ!いざ今家に立歸り、おのれの業に心せよ、 490機(はた)と裃(かせ)とに心せよ、而して侍女に命下し、おのおの業に就かしめよ、戰こそはイリオンに住める男兒の身の勤め、特に中にもわれの分(ぶん)』488 XII 325.しかく宣してヘクトール馬尾冠毛の兜(かぶと)取り、頭(かうべ)にのせぬ、可憐なる妻ははてなき涕涙に 495潜然としてあまたたび見送りながら別れ去り、やがて堅固に築かれし英豪の將ヘクト,ルの舘に歸りて數多き侍女に委細を物語りその哀號を擧げしむる、――其時侍女ら舘の中、大ヘクトール、其主公、生ける間に悲めり、 500アカイア族の勇猛の手を免れて戰の場(ば)より再び歸ることあり得べしとは信ぜねば...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...私は自分をいかにも卑怯だと思う...
外村繁 「澪標」
...こちらから二三発応射した卑怯者があった...
豊島与志雄 「渡舟場」
...今日はまた西国浪人どもの手先をつとめる卑怯者!」「卑怯者とは聞捨てがならぬ」兵馬はムッとして怒りました...
中里介山 「大菩薩峠」
...役人として卑怯なりとは言えない...
中里介山 「大菩薩峠」
...釘でとめるのは卑怯(ひけふ)ですね...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...これをかのアジヤ諸州の人民が、虚誕妄説を軽信して巫蠱(ふこ)神仏に惑溺し、あるいはいわゆる聖賢者の言を聞きて一時にこれに和するのみならず、万世の後に至りてなおその言の範囲を脱すること能わざるものに比すれば、その品行の優劣、心志の勇怯、もとより年を同じゅうして語るべからざるなり...
福沢諭吉 「学問のすすめ」
...祖父母達は電気に怯えて傍へも寄れないので...
牧野信一 「淡雪」
...卑怯な人間だと内心軽蔑(けいべつ)してゐるのを...
宮原晃一郎 「風変りな決闘」
...私は、その雀が、何かに怯えて、一散に屋根へ戻った後、猶二掴三掴の粟を庭に撒いた...
宮本百合子 「餌」
...何で怯(ひる)もうと...
吉川英治 「三国志」
...命を惜しむ卑怯者ではございません...
吉川英治 「私本太平記」
...よく水を潜(くぐ)り船の底にもヘバリついて長時間といえ怯(ひる)まない...
吉川英治 「新・水滸伝」
...怯(ひる)みをみせまいとするのであろう...
吉川英治 「鳴門秘帖」
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