...麝香入(じゃこういり)の匂袋ででもある事か――坊は知るまい、女の膚身(はだみ)を湯で磨く……気取ったのは鶯(うぐいす)のふんが入る、糠袋が、それでも、殊勝に、思わせぶりに、びしょびしょぶよぶよと濡れて出た...
泉鏡花 「絵本の春」
...やっぱりあいつかも知れない」黒瀬は思わせぶりに云った...
江戸川乱歩 「恐怖王」
...深山木幸吉のいやな癖(くせ)の思わせぶりに...
江戸川乱歩 「孤島の鬼」
...またも古人の歌「吉野山やがて出でじと思ふ身を花散りなばと人や待つらむ」と思わせぶりに書き結び...
太宰治 「新釈諸国噺」
...思わせぶりに涙ぐむような風して見せて...
谷崎潤一郎 「卍(まんじ)」
...思わせぶりに肩を揺すぶって見せたりなどしていた...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「接吻」
...」彼は思わせぶりに...
徳田秋声 「縮図」
...思わせぶりになったり...
中里介山 「大菩薩峠」
...それを思わせぶりに持って...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...堪忍して……」「さあねえ」思わせぶりに...
火野葦平 「花と龍」
...腕組みしたまま、思わせぶりに、※は、にやにや笑っている...
火野葦平 「花と龍」
...いかにも思わせぶりに残してあって...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogolj(Николай Васильевич Гоголь) 平井肇訳 「死せる魂」
...たぶんもう少し後で……」思わせぶりに止めたので...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「黄金薔薇」
...裁判所のこの思わせぶりには転向が条件として附せられていたことがわかったので...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...――文字などもわざと朧(おぼろ)にしたため、肝要らしい所は、思わせぶりに、失筆で塗りつぶし、また削り改めたりなどして、一見、おそろしく複雑で重要そうに見えさえすればよろしいのです」「むずかしいのう」「兵馬を費(つか)うことを考えれば、そのくらいな労は、何ほどでもありますまい...
吉川英治 「三国志」
...ただその“太平”ということばの持つ広さや漠(ばく)とした思わせぶりに仮托(かたく)したものが大部分であるといってよい...
吉川英治 「随筆 私本太平記」
...わざと思わせぶりに...
蘭郁二郎 「夢鬼」
...藤村の書いたものは思わせぶりに感じられたかもしれぬが...
和辻哲郎 「藤村の個性」
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