...』船『旦那は、余程、合せてやろうかと、一旦は手を伸べたそうですが、若しも逸(ば)らして、後で恨まれてはと、思いなすって、「おいおい引いてくよ、引いてくよ」と、仰有るだけなもんでしたから、植木屋さんは、猶々気が気で無く、やっとの事で降りて来ましたが、綸は、ずっと延びてますので、引いて好いのか、出さなければ悪いのか、一寸は迷って仕舞って、綸に手をかけて見たものの、仕様無かったと、言ってました...
石井研堂 「大利根の大物釣」
...ひとえに獣にとお思いなすって...
泉鏡花 「悪獣篇」
...内証の御寵妓(おきにいり)ででもあるようにお思いなすって...
泉鏡花 「浮舟」
...とお思いなすったか...
泉鏡花 「婦系図」
...日本の文化と支那のとを何となく同じものであるように思いなす人たちもあるらしいが...
津田左右吉 「〔『支那思想と日本』初版〕まえがき」
...民族史はかかる誇るべき生活と精神とを以て貫通する如くに思いなすことさえも...
津田左右吉 「日本精神について」
...ただ遊びに来たものとでもお思いなすったのでしょう...
豊島与志雄 「或る男の手記」
...私がまたじきに戻ってきてつまらないことをするとお思いなすっては...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...どうお思いなすって」答え方がいろいろあるので...
夏目漱石 「三四郎」
...誰だと思いなすって?騙(だま)されたと思って...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...いっそ死んでしまったほうがいいとお思いなすったんだろう...
久生十蘭 「ユモレスク」
...恐らくその御方のお思いなすったのよりも...
堀辰雄 「ほととぎす」
...この私を助けると思いなすって……」お湯に額が触(さわ)るほど今松は...
正岡容 「寄席」
...それ程の方が、このお姿、――ますますわたしには解らない、――若者は、雪之丞の瞠目(どうもく)を、暗がりの中で感じたか、カラカラと笑って、「お前さんは、多分、あの時、あっしが、飛び出して、その場をさばいた揚句(あげく)、扇の構えが、どうのこうのといったので、やっとうの方でも解るように、お思いなすって、吃驚(びっくり)なすっているのだろうが、なあに、何でもありゃあしません...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...お会いなすった上で是非貰いたいとお思いなすったら御自分でおっしゃりにくいでしょうから...
村井弦斎 「食道楽」
...)そうしてかいて見ようと思いなすったの...
ライネル・マリア・リルケ Rainer Maria Rilke 森鴎外訳 「家常茶飯」
...そしてあの時そう思いなすったのですか...
モルナール・フェレンツ Molnar Ferenc 森鴎外訳 「辻馬車」
...生前の交誼(よしみ)をお思いなすって...
吉川英治 「剣難女難」
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