...怒気を漲らした高村軍曹の顔が礫のやうに飛んで行つた...
新井紀一 「怒れる高村軍曹」
...場外にはなお聴衆が溢れていた「帰れ」顎紐(あごひも)が号令する――だが顎紐糞喰えだ――組合の弁士の演説をきかないで誰がおめおめ帰れるか今日の演題を見ろ僧侶やブルジョアの学校のような俺達に縁遠い事ではない――俺達の生活についての話だ――食えない俺達のそのままの声だ――――立入禁止をはね飛ばせ――――資本家が如何に俺達をしぼったか……農民の生活について――場外も場内もよくよく怒気が唸っていた...
今村恒夫 「死ぬる迄土地を守るのだ」
...房一の顔に現れてゐるのはさういふ怒気だつた...
田畑修一郎 「医師高間房一氏」
...まさしく怒気をふくんで待ち受けているのです...
中里介山 「大菩薩峠」
...怒気も悪気も消えて...
中里介山 「大菩薩峠」
...怒気を含んで見返ろうとしたが...
中里介山 「大菩薩峠」
...見れば神尾は三ツ眼で、行列を睨(にら)んだまま、怒気と、軽蔑を満面に漲(みなぎ)らせている...
中里介山 「大菩薩峠」
...怒気天を衝(つ)くだの...
夏目漱石 「趣味の遺伝」
...石井氏は少しく怒気をふくんで...
蜷川新 「私の歩んだ道」
...一瞬相手の顔にさつと漲る怒気はまるで鋭利な刃もののやうにおもへた...
原民喜 「飢ゑ」
...怒気心頭に発し、すぐ「馬鹿言ふな、そんな脚本は見たこともない」と返事を書く...
古川緑波 「古川ロッパ昭和日記」
...そして怒気を帯びて下女の前に一歩進んだ...
マルセル・プレヴォー Marcel Prevost 森鴎外訳 「田舎」
...さらでも怒り居る曹長はこの抵抗に逢ふて怒気ますます激し来り「自分で飯を取りに来られぬやうなら飯を喰はんが善い馬鹿野郎め」とぞ叫びし...
正岡子規 「従軍紀事」
...たまらない怒気が腹の底から煮えくり返って来るのを...
夢野久作 「冥土行進曲」
...怒気(どき)を発するのは禁物です」「かたじけない...
吉川英治 「三国志」
...――死ぬばかりが勇者なりと心得ておらるるとみゆる」「なに」弾正は、怒った声で、「この弾正を、匹夫と申したな」すかさず、その怒気へ、藤吉郎は早口で、云い返した...
吉川英治 「新書太閤記」
...よい終りをとげた者はありません」「清盛のは私の怒気だ...
吉川英治 「新書太閤記」
...一人は赤い怒気を顔にふき出して...
吉川英治 「宮本武蔵」
便利!手書き漢字入力検索