...たいていの人は怒る...
石川欣一 「山を思う」
...そんなに怒るのである...
太宰治 「お伽草紙」
...手前はあまりな婆さんの仕打を見てまして、仏罰を恐れないのか、なんと云う後生の悪いことをする婆さんだ、と、怒るよりは、空恐ろしい思いをしましたところで、婆さんの頭は突き戻されるようにお駕籠の中から出るとともにその体は背後(うしろ)へよろよろとなりました...
田中貢太郎 「尼になった老婆」
...その癖怒ることも出来ずに...
谷崎潤一郎 「痴人の愛」
...わが非を知れば、人は怒る...
徳冨蘆花 「小説 不如帰」
...人は不当に怒ることもある...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...車夫を車夫と呼べば車夫怒る...
永井荷風 「偏奇館漫録」
...怒ることもならず真面目(まじめ)に挨拶させられます...
野村胡堂 「死の予告」
...頭から水をブツかけられて御覽なさい」「怒るな...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...其三それは眞實か、さても若き了簡よな、さればこそ母が行末を案じて、亡き後までを氣遺ふは夫ゆゑ、うき世を机の上の夢に見て、重き物は六寸の筆より外もたず、書物によまれて我が心なき人は夫れも道理か、其心にて押ゆかば、事成就の曉は幾つまづきの後なるべき、東照宮樣御遺訓に重荷を負いて遠路を行くが如しと有りけれど、恐らくは半道も三分一もえ行かぬほどに投げ出して閉口せねば成るまじ、我れは我れによりて事を爲すとは、さても立派の言の葉ながら聞けよ與之助、汝ほどの學識(ものしり)は廣き東京(みやこ)に掃(は)くほどにて、塵塚の隅にもごろごろと有るべし、いづれも立身出世の望みを持たぬはなく、各自(めい/\)ことは易(かは)りて、出世の向きも種々(さま/″\)なるべけれど、名を揚げ家をおこしてなどゝ、これを誰しも基本(どだい)なり、汝の思ふ如く一筋繩に此望みの叶ふものとせば、世は惡る者の巣(す)に成りて、闇夜のはち合せ危ふかるべきを、十分が九分は屑にして、心寛くも手段の上手なる人が其一分の利は占むるぞかし、小と大との差別を知りたらば、田原か聟となるを恥とは言ふまじき筈、其袖の下にかくれて、これに操らるゝと思へば口をしくもあれ、我が爲の道具につかひて、これを足代にと爲(す)れば何の恥かしきことか、却りて心をかしかるべし、誹はほまれの裏なれば、群雀(むらすゞめ)の囀りかしましとても、垣のもとの諸聲は天まで屆かず、雲をけり風にのる大鵬の、嬉しきは此姿ならずや、近くたとへを我が女同志(どし)にても見よ、彼の田原殿が奧方は京の祇國の舞妓とかや、氏ははるかに劣りし人とか、通常普通(なみ/\)の娘にて過ぎなば、前垂(だ)れ襷(たすき)の縁をはなれず、井戸端に米やかしぐらん、勝手元に菜切庖丁や握るらん、さるを卑賤(さも)しき營業(なりはひ)より昇りて、あの髭どのを少さき手の内に丸め奧方とさへ成り澄ませば、そしりは物のかげに隱れて名は公の席にも高く、田原夫人と並らべ書けるが、公侯伯子の誰夫人(たれさま)にも劣る事か、慈善會、音樂會、名は聞きながら見ること難き人さへ有るに、幹事とかや何とかや、それは未だ少さし、事ある時はおほけなき御前にも出るとぞ、これを我等が上に比らぶれば、空に流るゝ銀河(あまのがは)と、つちに埋るゝ溝川との違ひあり、少さき貞婦孝女は遂いに顯はるゝ事なくして、うき世の巾利は此たぐひの人なるぞや、なき人の上に批點もいかゞなれど、汝が心根に似たりける父樣の、我れが我れがと思しめしは奇麗なりしが、人をも世をも一包みにする量なければ少さき節につながれて、我れと我が身を愚になしつゝ、夫れはまだしも、先にも我が身が言ふ如く、遇はぬ浮世に何事の望みも捨てゝ、苔に雨きくたのしみを、茅が軒ばに味ひたらば、別に長閑けき月日ありて、夫れは又其筋に面白かるべけれど、かなしきは生にゑの人の事ぞかし、すき間もる風霜夜さむけく、薄き衣に妻子の可愛さしみ/″\と身にしみれば、一日半夜やすらけき思ひはなく、身はけがれざる積りにて汚(きた)なき人の下に使はれ、僅かの月給に日雇にひとしき働きをして、長からぬ生涯を月もなく花もなく終り給ひしは汝とても知れるが如し、されば汝が心根の清く尊く美くしく立派には聞えたれど、仕種は父樣の二の舞にて、笑止や少さき結搆人にて終りやせん、と言はゞ堪へぬ心に腹もたつべし、母は汝が爲をおもへば、怒る、はらたつ、何の憚りはせぬぞや、よしや汝が望みの判事試驗に、首尾よく及第して奏任のはしに列らなりたり共、田舍まはりに幾年を渡り、猶その上に種々の規則にしばらるれば、花の都に名を擧げて世間の耳目を集むるほどの事は、保證の印のしかとおして、無しと言ふとも誤りは有るまじ、一生を斗量(はかり)にかけ尺度(ものさし)にはかり、これほどゝ限りある圖の中に、身は目に見えぬ繩につながれ、人の言葉を守り人の命令(さしづ)に働き、功は後の世に殘る事もなく、死しては知己に吊はれ子孫に祭らるゝ夫れ丈を差別にして、さのみ犬猫と變りもなく、夢と暮し烟りと消え、夫れにて汝は滿足なか、夢ならば彌勒の世までを夢につゝんて、嘘も眞實も僞りも、美しきも醜きも一呑みに呑みつくして、此世の中に高く飛ぶ心は無きか、いかにぞや與之助、返事のなきは不承知か、口をしや我が思ふ半をも解し得ず、汝はまだいさゝかの情に引かるゝと見えたり、其愚かしき性根とは知らで思ひを碎きしは我があやまりよ、今は何ごとも口入れなすまじければ萬づ汝の勝手たるべし、否(いな)、お新殿のめゝしさならずとは言譯、これに引かる心ならずは、何時か一度は持つべき妻の、口約束ばかり何の大事かは、田原に不足は言ふまじき筈と責められて與之助、我れを白痴にしたりける母が詞と肝癪のむらむらと加へて、嫌で御座ります、田原もいやお新もいや、諸事萬事氣に入りませぬと、有りし昔の惡あがきに、剛情はりける時の面かげを其まゝ、折角のお近が談義は揉みくちやにしてのけられたり...
樋口一葉 「花ごもり」
...外國人を斬れば外國人が怒るであらう...
福澤諭吉 「明治三十一年三月十二日三田演説會に於ける演説」
...犯人を出せと怒る...
古川緑波 「古川ロッパ昭和日記」
...なにをそんなに怒るの」「おれは気持が悪いんだ」「だから...
山本周五郎 「花も刀も」
...怒らずに聞いてくれるか」「おれが怒るって――」「怒られるだろうと思うし...
山本周五郎 「花も刀も」
...怒るかといふことがわかるわけである...
吉川英治 「折々の記」
...怒るを止めよ...
吉川英治 「三国志」
...と師直はそれに怒るふりでもなかった...
吉川英治 「私本太平記」
...すると怒るよ」「だが...
ルナアル Jules Renard 岸田国士訳 「ぶどう畑のぶどう作り」
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