...今一息押して行けば忽然として新しい世界が現前しさうだ...
阿部次郎 「三太郎の日記 第一」
...例えばファゴットの管の上端の楕円形が大きく写ると同時にこの木管楽器のメロディーが忽然として他の音の波の上に抜け出て響いて来るのである...
寺田寅彦 「映画雑感(5[#「5」はローマ数字、1-13-25])」
...忽然としてアカイアの輕舟の陣訪ひ來り...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...忽然として意志の完成に到達するという精神的な幸福はそれほど偉大なものではない...
ドストエーフスキイ 中山省三郎訳 「カラマゾフの兄弟」
...そしておれの眼前に、忽然と、相馬武彦の姿が現われた...
豊島与志雄 「或る作家の厄日」
...忽然として深川の一角で消滅してしまったというんだから...
久生十蘭 「金狼」
...一ペーヂ、二ペーヂと、その投げやりな筆につい引かれて讀んで行くうちに、忽然として、私の眼の前にはさまざまな人物が丁度バルザックの小説の中でのやうに、鮮やかに浮んでくるのである...
堀辰雄 「日付のない日記」
...忽然と展いた通りを...
牧野信一 「花束一つ」
...馬鹿に大きな顔が忽然と現れて来る...
正岡子規 「ラムプの影」
...去冬忽然と寄来候...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...忽然念起――忽然として念じ起たねばなりません...
横光利一 「旅愁」
...忽然と一時に全部が浮びあがつた...
ピエル・ロチ Pierre Loti 吉江喬松訳 「氷島の漁夫」
...あの惨状に変って忽然と居なくなってしまったので...
吉川英治 「江戸三国志」
...忽然と亡くなつた友人の菊池寛氏は...
吉川英治 「折々の記」
...忽然とかき消えた...
吉川英治 「三国志」
...忽然と吹き起って...
吉川英治 「三国志」
...忽然と影もない...
吉川英治 「宮本武蔵」
...いつの間にか忽然として自然変質をしてしまったのです...
蘭郁二郎 「宇宙爆撃」
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