...二度三度と重なるとイツデモ一つ話ばかりをしていて博覧の奥底が忽ち看(み)え透いて来たには嫌気(いやぎ)が挿して来た...
内田魯庵 「美妙斎美妙」
...室内(しつない)に死んだようになって横たわっている老婦人を助ける元気などは忽(たちま)ち失(う)せて...
海野十三 「崩れる鬼影」
...忽(たちま)ちにして脳裡に蟠(わだかま)っていた疑問を一掃(いっそう)し得ることが出来たのだ...
海野十三 「電気風呂の怪死事件」
...正造は急に顔色を和げて粗忽を謝した...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...若しも社会に不条理な制度が存在するときは忽ち之に気が附き...
丘浅次郎 「人類の将来」
......
小笠原長生 「海島冐險奇譚 海底軍艦」
...その寐惚顔(ねぼけがお)には忽(たちま)ち冷笑(れいしょう)が浮(うか)んだので...
アントン・チエホフ Anton Chekhov 瀬沼夏葉訳 「六号室」
...目に見えない位の微(かす)かな和らぎが忽ち顔中に拡がったと思うと...
中島敦 「虎狩」
...この溝へ入れた雪は忽ち溶けて流れてしまうのである...
中谷宇吉郎 「雪」
...その晩の隣室は忽ち灯りも消して...
牧野信一 「風流旅行」
...ただ単に噺でおぼえたほかの人の粗忽噺とはどこかちがったほんとうらしいところがあるらしく...
正岡容 「初看板」
...そして其人の忽ち刺を通ずるに会つた...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...お供の者どもはその粗忽(そこつ)者を罰すべきだと主張した...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...忽(たちま)ち猛然と走り出して電車線路を宙に躍り越えた...
夢野久作 「暗黒公使」
...この地の支店長になれることは忽(たちま)ちだった...
横光利一 「上海」
...纔入城門身忽亡...
與謝野寛・與謝野晶子 「満蒙遊記」
...万太郎は忽然とそこを去りました...
吉川英治 「江戸三国志」
...ひと一倍、涙もろい藤吉郎は、忽ち、顔じゅうを涙で汚らしくしてしまった...
吉川英治 「新書太閤記」
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