...忽(たちま)ち心を躍(おど)らすばかり暖な日の色に染まっている蜜柑が凡(およ)そ五つ六つ...
芥川龍之介 「蜜柑」
...この念は忽ち生じ忽ち滅すれど...
ハンス・クリスチアン・アンデルセン Hans Christian Andersen 森鴎外訳 「即興詩人」
...されば予は忽(たちま)ち同業者間第一の勤勉家と云う評を得た...
伊藤左千夫 「家庭小言」
...やがて寶珠嶽に上れば、雲は今女體を包みて、山下八州の野、手に取る如く見えしが、忽ちにして、白雲また下より涌き來りて、全く下界を封じぬ...
大町桂月 「春の筑波山」
...兵式の教師が国防の忽(ゆるがせ)にすべからざることを説くと...
丘浅次郎 「人間生活の矛盾」
...水に浮いてゐる蓴菜の茎や岸辺伝ひに生えてゐる蘆は忽ち其の波紋が及んでゆらめき始めた...
高濱虚子 「古江」
...緑色だった空は忽(たちま)ち暗くなって雨が降って来る...
竹久夢二 「少年・春」
...然し愉快です――力(ちから)ですから」忽(たちまち)世田ヶ谷村役場の十字路に来た...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...エニンより一歩北すれば忽(たちま)ち下(しも)ガリラヤの野...
徳冨蘆花 「馬上三日の記」
...ヴエルサイユの肅然たる庭苑を眺めると忽ち王政は美しいと叫んだ...
永井荷風 「新歸朝者日記」
...そんなものの交りあった複雑な表情で忽(たちま)ち充たされて了ったのである...
中島敦 「虎狩」
...赤が吠える声は忽ちに遠くなって畢う...
長塚節 「太十と其犬」
...忽ち雲のような騒ぎが湧きたつ...
中村地平 「南方郵信」
...すると忽然(こつぜん)として鈴(れい)を振(ふ)る響(ひゞき)が彼(かれ)の耳(みゝ)に應(こた)へた...
夏目漱石 「門」
...忽(たちま)ちきゃッきゃッと軽忽(きょうこつ)な声を発し...
二葉亭四迷 「浮雲」
...忽ちくっついて来る...
宮本百合子 「海浜一日」
...嬢は三十銭の料理について忽(たちま)ち献立を案出し「小山さん...
村井弦斎 「食道楽」
...青眼は忽ちむっくと起き上って...
夢野久作 「白髪小僧」
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