...信仰の先導者なるイエスは其の前に置かれたる喜楽(よろこび)に因りてその恥をも厭わず十字架の苦難(くるしみ)を忍び給うた(同十二章二節)...
内村鑑三 「聖書の読方」
...だれか忍び込めばすぐ分るはずでございますが」夫人はどうかして明智の想像を否定しようとした...
江戸川乱歩 「一寸法師」
...ドアのすき間から忍びこんできたのだ...
江戸川乱歩 「黒蜥蜴」
...都合よくその間(ま)に盗賊(どろぼう)がなかに忍び込んだ...
薄田泣菫 「茶話」
...夜分ひそかに神尾の邸内へ忍び込んでみようと思いました...
中里介山 「大菩薩峠」
...しかも我々の新たに移り住んでいることを知らないはずのない怪しい奴が忍び寄っていると...
中里介山 「大菩薩峠」
...宿から宿と荒し廻る忍びの名人だったのです...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...仙臺樣御忍びの行列に逢ひましたが」「夜分にお忍びの行列?」「本所お下屋敷からのお歸りだつたさうで」それはありさうなことでした...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...この際重井と結婚を約するは情において忍びざる所なきに非ず...
福田英子 「妾の半生涯」
...俺の姿は見られないな」そう言いながらガードンが忍び足で近づき...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「謎の四つ指」
...裏町の酒場へ忍び...
牧野信一 「川蒸気は昔のまゝ」
...春が忍び寄るに従つて...
牧野信一 「タンタレスの春」
...小生の死するは世間の人の御身を嘲り笑ふを見るに忍びざるが為に候...
アルツウル・シユニツツレル Arthur Schnitzler 森林太郎訳 「アンドレアス・タアマイエルが遺書」
...事実を書くには忍びないし...
山本周五郎 「契りきぬ」
...私はこれから先の事を書くに忍びませぬ...
夢野久作 「押絵の奇蹟」
...その折は、あなた様も、われら同様な山伏姿にお身なりを変えて、次の日、当麻(たいま)越えより高市(たけち)の方へ、ただお一人で、忍びやかに、お立ち出ででございましたが」「…………」「さいぜん、龍田の路傍で、ふとお見かけした折も、すぐ思い当りまいたが、居合せた若い学僧は、宮方不服の輩と見えましたゆえ、わざと、眼をそらせて、立ち去った次第でございまするが、何はともあれ、いつも御健勝の態(てい)で、宮方たるわれら末輩(まっぱい)まで、心強うぞんぜられます」「…………」「次いでは、五年前の秋、あの正中二年の騒ぎでは、あなた様にも、日野資朝卿(すけともきょう)と共に、鎌倉表へ曳かれてゆき、一時は、宮方同心の者みな、暗澹(あんたん)な思いにくれましたが、佐渡へ流され給うたは、資朝卿おひとりにて、あなた様には、解かれて、都へお返りなされてでござりまいた...
吉川英治 「私本太平記」
...忍びやかに諜(しめ)し合せて来たことまで見届けてある」「すべて...
吉川英治 「宮本武蔵」
...同時に、柳の蔭から、それにあわせて、忍び足で、そろり、そろり、と前へすすみだした女は、夜目にも鮮(あざ)らかな、美人だった...
吉川英治 「牢獄の花嫁」
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