...彼もここまで運んで来ながら心残りであったろうし...
相馬愛蔵、相馬黒光 「一商人として」
...奇怪な腫物の病人に心残りがして...
田中貢太郎 「人面瘡物語」
...ひどく心残りだった乳母は...
アーサー・コナン・ドイル Arthur Conan Doyle 大久保ゆう訳 「サセックスの吸血鬼」
...心残りのないように...
徳田秋声 「縮図」
...彼女がいかにも可憐(かれん)な心残りの様子を示したので...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...僕は心残りのことが二つありました...
豊島与志雄 「道化役」
...お心残りでございましょう...
中里介山 「大菩薩峠」
...梅本の蕎麦を食べないということが心残りになるらしい...
中里介山 「大菩薩峠」
...おじいさまも心残りのようでした」と...
中谷宇吉郎 「牧野伸顕伯の思い出」
...分ったか」「親分さん、心残りは、――この娘、お筆のことでございます」「心配するな...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...捨てて過ぐるにしのび難く心残りして見返れば...
樋口一葉 「たけくらべ」
...これのみ心残りにおわし候...
広津柳浪 「今戸心中」
...暫くしてから彼女がきょうは何んとなく心残りのような様子をしていたのを思い出すと...
堀辰雄 「菜穂子」
...心残りそうにかえり見られがちに...
堀辰雄 「ほととぎす」
...それでも何かがお心残りのようにすぐにはお立ちにもならず...
堀辰雄 「ほととぎす」
...若しもの時は後事よろしくお頼み申し候 尚私所有の遺物は大部分栄二へ御譲り下され度願上候父上は当分帰宅なき様子にて決して依頼心を起すことなく御身も自活の道を講ぜられ度願上候若し無事帰宅せば私も御身の滞在中その地へ参り種々心残りのこと伝へ置きたく思ひ居り候八月十日夜認む母より信一殿御許へ読み終ると彼は...
牧野信一 「スプリングコート」
...――でも、同門の人々や、上人の前で、親しい言葉をかわすことができなかったので、心残りに、まだそこに佇(たたず)んでいたものと見え、窓に、綽空の顔を見ると、とびつくように寄ってきて、昔ながらのことばで、「お師さま!」と、濡れた顔を下からのばした...
吉川英治 「親鸞」
...「あっ、羅門氏(うじ)」と、東儀与力はあわてて、門の外まで追いかけて来て、「――しばらく」「何ですか」「いろいろご明断を授けられて、暗夜に曙光(しょこう)を見たように存じます」「いやいや、まだこんな事では、ご参考にもなるまいが、いずれ拙者も心がけて、吉左右(きっそう)をつかみ次第に、ご通知いたしましょう」「ところで、このままお別れいたしては、何となく心残り、ご迷惑でなければ、奉行所までご同道下すって、お雪の死骸についておった証拠品やら書類などをご一見下さるまいか」「さあ……実はこれから、少し私用を帯びて、八官町(はっかんちょう)まで立ち寄った上でなければ体が空(あ)きませぬが」「八官町ならば、どうせ自分にも戻り道、おさしつかえなくば、同行してもよろしいけれど」「では、ご一緒に参りましょう」「そう願えれば、何よりの好都合で」と、東儀与力は忙(せわ)しげに後へ戻って、加山耀蔵(ようぞう)には、ここの後始末をいいつけ、波越八弥には、本石町(ほんごくちょう)の佐渡平の店へ行って、彼の家(うち)を出た日の前後の事情を調べてくるようにいいつけて、「や...
吉川英治 「牢獄の花嫁」
便利!手書き漢字入力検索