...心の奥底の方の何処かでは...
伊藤野枝 「惑ひ」
...やはり心の奥底で引け目になっていた...
梅崎春生 「狂い凧」
...だが、それにも拘らず、彼の探偵としての推理力は、以下に記述するが如く、実にすばらしいものであったし、又彼の人間としての善良さは、表情や言葉の端々(はしばし)にも見て取ることが出来た程で、私は、心の奥底には、まだ一片の疑いを残しながらも、ついつい彼の言葉を信じ、彼の意見に従うことにもなって行ったのである...
江戸川乱歩 「孤島の鬼」
...それがまた相手の心の奥底まで見通しでもするかのように...
大倉※[#「火+華」、第3水準1-87-62]子 「むかでの跫音」
...と此(こ)の芸術家は、心の奥底に、そのゆるがぬ断定を蔵していて、表面は素知らぬ振りしてわが女房にも、また他の女にも、当らず触らずの愛想のいい態度で接していました...
太宰治 「女の決闘」
...「どうせ冬まで寝(ねか)しておくものだ」お島は心の奥底に淀(よど)んでいるような不安と恐怖を圧しつけるようにして言った...
徳田秋声 「あらくれ」
...あなたの美しい顔の上に現われる自分の言葉の反映を見守りながら、心の奥底では、あなたには言わない別な言葉を聴(き)いています...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...われわれは前にこの人の内心の奥底をのぞいたことがあるが...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...科学者はつとめてその両者を無意味、没交渉に看過せしめようとするけれども、人心の奥底には、誰しもその脈絡を信じようとしてやまぬものがあるらしい...
中里介山 「大菩薩峠」
...人の心の奥底を動かすものは...
中原中也 「一つの境涯」
...私の心の奥底にも...
北條民雄 「孤独のことなど」
...フィリーモンがいやでも心の奥底まで打明けて言ってしまわないではいられなくなるような風に口をききました...
ナサニエル・ホーソン Nathaniel Hawthorne 三宅幾三郎訳 「ワンダ・ブック――少年・少女のために――」
...どうして言えようか、来たわけや、心の奥底を...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「謎の四つ指」
...彼の心の奥底を衝(つ)いたこともないではなかった……にぎやかな市中にいるのが...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「トニオ・クレエゲル」
...心の奥底に秘めていた時代もあった...
水上滝太郎 「九月一日」
...何一つ君の心の奥底をくすぐったり突いたりするものがない...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...心の奥底にもまた白い模様レースが流れはじめる...
矢田津世子 「鴻ノ巣女房」
...心の奥底を微かに微かに戦(おのの)かしていた...
夢野久作 「継子」
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