...「またはあ銭(ぜに)こ海さ捨てるだ」と君の父上は心から嘆息してつぶやきながら君に命じて配縄(はいなわ)を切ってしまった...
有島武郎 「生まれいずる悩み」
...もう大じょうぶだという安心から...
江戸川乱歩 「少年探偵団」
...心から年寄を労(いた)はつてやらうと云ふ優しい情愛がないからなのだと...
谷崎潤一郎 「猫と庄造と二人のをんな」
...それ自身独立な他の関心から...
戸坂潤 「思想としての文学」
...心から憎んでやる...
豊島与志雄 「操守」
...アアと心からの溜息を吐(つ)きながら...
中島敦 「南島譚」
...私の母は何処までも知らぬ分で其金も私の苦心から出たことにした...
長塚節 「隣室の客」
...つい年長者の傲(おご)る心から...
夏目漱石 「彼岸過迄」
...心から禮を言はれると...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...心からお奨めするのでございます」話しながらもうわの空であった...
林芙美子 「帯広まで」
...心からウットリとせずにはいられぬのだ――」と...
三上於兎吉 「艶容万年若衆」
...再び自分を心から抱かれている者として信じることが出来ますから...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...ですが現代のものは、人間の心から、勿体ないという感謝の気持ちや、物への情愛を奪い取ってしまいました...
柳宗悦 「民藝四十年」
...心から服しておりませぬ」「兵糧武具の備えはどうか」「軍備は充実していますが...
吉川英治 「三国志」
...自然お心からうすらいでしまうのは...
吉川英治 「私本太平記」
...――これには私も、心のうちで、実は驚き入っておりまする」二「そうだ……」城主の大内国時はうなずいて、「わしの国が今、かりに戦いに亡(ほろ)んで、二度(ふたたび)ここに下野城を築こうとしても、武力や財力では、この真心を集めることはできない」「この工事を奉行いたしてから、私も、心から、念仏に帰依いたしました」「権之助、おまえも、そう考えてきたか」「あの真心のもとに打つ手斧(ちょうな)の音――あの信念そのものの姿で働いている法師たちや門徒の者を見ては」「そちは、そちの胸にも、たましいの伽藍を建てたのだ」「殿にも近いうちに、ご帰依の上人から、得度をおうけ遊ばせられる由をうかがいましたが」「ウム、家督は舎弟国行(くにゆき)に譲ると決めた...
吉川英治 「親鸞」
...……いずれまた」心から赤面に堪えぬように...
吉川英治 「宮本武蔵」
...ぼくは、その頃のわが家と、毎日の事を、今、思い出そうと努めているが、誇張でなく、また肉親だからでもなく、ぼくは心から、ぼくの母を偉かったと思わずにいられない...
吉川英治 「忘れ残りの記」
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