...併し微かな光、瞬ける光、逡巡せる光に在つては、光らむか照さむかが意味のあるデイレンマとして問題となる...
阿部次郎 「三太郎の日記 第二」
...十二と云ふ時にやつと聞える程微かな雷が鳴り出しました...
アンリイ・ファブル Jean-Henri Fabre 大杉栄、伊藤野枝訳 「科学の不思議」
...日がな一日ぼりぼりと微かな歯音をたてて...
薄田泣菫 「独楽園」
...その崖の上の苔(こけ)の間に微かなひとすじの坂路があって...
谷崎潤一郎 「少将滋幹の母」
...春の風のやうな微かな私語(さゝやき)を敢てさへすれば...
田山録弥 「赤い鳥居」
...又は主客合一の境に入らうとしてゐるのが微かながらも指点(してん)された...
田山録弥 「自他の融合」
...つゞいて女のそつと近寄つて来る微かな呼吸を感じた...
田山録弥 「浴室」
...束(つか)の間(ま)のほんの微かな誇りの色を浮べながら...
チャールズ・ディッケンズ 佐々木直次郎訳 「二都物語」
...微かな笑(えみ)を見せて...
直木三十五 「近藤勇と科学」
...いう微かな――遠いところで...
直木三十五 「南国太平記」
...もしかすると貸してもらえるかもしれないという微かな望みがあったが...
原民喜 「火の唇」
...はるか微かな耳に...
牧野信一 「渚」
...そのまゝ微かな歌も歌へるやうになるかも知れない...
牧野信一 「円卓子での話」
...微かなしかもおそるべき威嚇がこもっていた...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「トビアス・ミンデルニッケル」
...溜まるほどもない微かな中くぼみのある石...
室生犀星 「庭をつくる人」
...呟くように微かなそのひと言が...
山本周五郎 「日本婦道記」
...遠い微かな思ひをさせながら夜雲の底に沈んで行く山もこれだ...
吉江喬松 「山岳美觀」
...深夜の無気味な静寂は語気の微かなふるえまでを伝える...
吉川英治 「新書太閤記」
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