...「御蔵橋の渡し」の廃(すた)れるのも間があるまい...
芥川龍之介 「大川の水」
...意気は本所、仇は両国うかりうかりと、ひやかせばここは名高き、御蔵前一足、渡しに、のりおくれ夜鷹の舟と、気がつかず危さ、恐さ、気味悪さ小藤次は、眼を閉じ、脣を曲げて、一くさり唄い終ると「ざっと、こんなもので」扇を抜いて、忙がしく、風を入れた...
直木三十五 「南国太平記」
...屋根船はその間にいつか両国の賑(にぎわい)を漕(こ)ぎ過ぎて川面(かわもせ)のやや薄暗い御蔵(おくら)の水門(すいもん)外(そと)に差掛(さしかか)っていたのである...
永井荷風 「散柳窓夕栄」
...御蔵には一の蔵と二の蔵と白壁の大きい土蔵が二つあって...
中谷宇吉郎 「御殿の生活」
...その御蔵に蟻の塔が出来たといって町の評判になっていた...
中谷宇吉郎 「御殿の生活」
...Sの老人は最後まで空の御蔵を護っていたことだろうが...
中谷宇吉郎 「御殿の生活」
...御蔵番をしているうちの金の不始末で...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...何しろ初上(のぼ)りの親方衆の、顔見世と言うのだから、座が割れっ返る程、大入り請合(うけあ)いだ」「そうなれば宜(よろ)しいが、――何分始めての御当地故、入りばかり気になって、――」雪之丞は謙遜(けんそん)深く、そんな相槌(あいづち)を打ちながら、さしかかったのが、横町を行きつくして、御蔵前通りの、暗く淋しい曲り角――...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...雪之丞は、しとしとと、夜道を、御蔵前通りを、駒形の方へ、歩を運ぶ...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...御蔵前組屋敷近所の...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...御蔵前、門倉平馬、町人体の若者一人召し連れ、折り入って御意(ぎょい)得たいと申し、ただ今、脇玄関まで罷(まか)り出て居ります」「何に? 平馬が?」と、老人は呟いて、「かかる夜陰に、何の所存(つもり)でまいったか、――会うてとらせる...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...なみ一通りのものではない――聴けば御蔵前の脇田の高弟とのことだが...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...御蔵米(おくらまい)と称して自分年貢の米を江戸へ回漕(かいそう)している...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...立花様へ飛んだ火が御蔵前(おくらまえ)のほうへかぶさって来た...
山本周五郎 「柳橋物語」
...御蔵前(おくらまえ)に店があった...
山本周五郎 「柳橋物語」
...御蔵前(おくらまえ)にある佐野正(さのしょう)の店へ仕事のために往き来するおせんはそのほうを心配していたし...
山本周五郎 「柳橋物語」
...……ともあれ、今宵は火之見(ひのみ)、御蔵方、それ以外の者は、すべていったん御帰宅のことじゃ...
吉川英治 「新編忠臣蔵」
...御蔵奉行の岩瀬志摩(いわせしま)が...
吉川英治 「夏虫行燈」
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