例文・使い方一覧でみる「御免なさい」の意味


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...御免なさいと玄関に来た人があるですから...   御免なさいと玄関に来た人があるですからの読み方
田山花袋 「蒲団」

...「御免なさいね、奥さんのこと批判したりなんかして...   「御免なさいね、奥さんのこと批判したりなんかしての読み方
徳田秋声 「仮装人物」

...お父さん、御免なさい...   お父さん、御免なさいの読み方
豊島与志雄 「千代次の驚き」

...」「私のことを!」「ええ、御免なさい...   」「私のことを!」「ええ、御免なさいの読み方
豊島与志雄 「未来の天才」

...文士だったら御免なさい...   文士だったら御免なさいの読み方
西尾正 「陳情書」

...ウ、フ、洒落た口説ねえ」「冗談は宜い加減にして、お前は本当に俺の話を聴いてくれる気があるかえ」「大ありよ八さん、――八五郎親分といっちゃあ気がないから、――御免なさい、――これから八さんと呼ぶワ」「俺は本気でお前を口説くかも知れないよ...   ウ、フ、洒落た口説ねえ」「冗談は宜い加減にして、お前は本当に俺の話を聴いてくれる気があるかえ」「大ありよ八さん、――八五郎親分といっちゃあ気がないから、――御免なさい、――これから八さんと呼ぶワ」「俺は本気でお前を口説くかも知れないよの読み方
野村胡堂 「銭形平次捕物控」

...「わかつた、わかつたよ、もう何んにも訊かねえが、此處に立つて居ちや、寒くて叶はねえ、お前の家へ入らうぢやないか、ツイ其處だもの」「それがいけないの、――うちの主人は、岡つ引とゲジゲジが大嫌ひで――ま、御免なさい、ツイそんな事を言つてしまつて」「構はないよ、それから」「少し我慢して下さいね、私は八五郎親分と、ゆつくり話して居たいんですもの」「それは宜いが、かう暗くちや」「構はないぢやありませんか」「でも、顏だけでも拜ましてくれよ」「勘辨して下さい、私が此處に居るとわかると、困つたことになるんです」少し行くと、柳屋の灯(ひ)が射して、お琴の顏位は見得るのですが、あの中には、顏を見られたくない人が居るとやらで、娘は井戸端(ゐどばた)を離れようともしません...   「わかつた、わかつたよ、もう何んにも訊かねえが、此處に立つて居ちや、寒くて叶はねえ、お前の家へ入らうぢやないか、ツイ其處だもの」「それがいけないの、――うちの主人は、岡つ引とゲジゲジが大嫌ひで――ま、御免なさい、ツイそんな事を言つてしまつて」「構はないよ、それから」「少し我慢して下さいね、私は八五郎親分と、ゆつくり話して居たいんですもの」「それは宜いが、かう暗くちや」「構はないぢやありませんか」「でも、顏だけでも拜ましてくれよ」「勘辨して下さい、私が此處に居るとわかると、困つたことになるんです」少し行くと、柳屋の灯が射して、お琴の顏位は見得るのですが、あの中には、顏を見られたくない人が居るとやらで、娘は井戸端を離れようともしませんの読み方
野村胡堂 「錢形平次捕物控」

...下さやけき月に風のおと添ひて、虫の音(ね)たえだえに物がなしき上野へ入りてよりまだ一町もやうやうと思ふに、いかにしたるか車夫はぴつたりと轅(かぢ)を止めて、誠に申かねましたが私はこれで御免を願ひます、代は入りませぬからお下(お)りなすつてと突然(だしぬけ)にいはれて、思ひもかけぬ事なれば阿関は胸をどつきりとさせて、あれお前そんな事を言つては困るではないか、少し急ぎの事でもあり増しは上げやうほどに骨を折つておくれ、こんな淋しい処では代りの車も有るまいではないか、それはお前人困らせといふ物、愚図らずに行つておくれと少しふるへて頼むやうに言へば、増しが欲しいと言ふのでは有ませぬ、私からお願ひですどうぞお下りなすつて、もう引くのが厭(い)やに成つたので御座りますと言ふに、それではお前加減でも悪るいか、まあどうしたと言ふ訳、此処(ここ)まで挽(ひ)いて来て厭やに成つたでは済むまいがねと声に力を入れて車夫を叱れば、御免なさいまし、もうどうでも厭やに成つたのですからとて提燈(ちようちん)を持(もち)しまま不図脇(わき)へのがれて、お前は我ままの車夫(くるまや)さんだね、それならば約定(きめ)の処までとは言ひませぬ、代りのある処(とこ)まで行つてくれればそれでよし、代はやるほどに何処か処(そこ)らまで、切(せ)めて広小路までは行つておくれと優しい声にすかす様にいへば、なるほど若いお方ではありこの淋しい処へおろされては定めしお困りなさりませう、これは私が悪う御座りました、ではお乗せ申ませう、お供を致しませう、さぞお驚きなさりましたろうとて悪者(わる)らしくもなく提燈を持かゆるに、お関もはじめて胸をなで、心丈夫に車夫の顔を見れば二十五六の色黒く、小男の痩(や)せぎす、あ、月に背(そむ)けたあの顔が誰(た)れやらで有つた、誰れやらに似てゐると人の名も咽元(のどもと)まで転(ころ)がりながら、もしやお前さんはと我知らず声をかけるに、ゑ、と驚いて振あふぐ男、あれお前さんはあのお方では無いか、私をよもやお忘れはなさるまいと車より濘(すべ)るやうに下りてつくづくと打まもれば、貴嬢(あなた)は斎藤の阿関さん、面目も無いこんな姿(なり)で、背後(うしろ)に目が無ければ何の気もつかずにいました、それでも音声(ものごゑ)にも心づくべき筈(はづ)なるに、私は余程(よつぽど)の鈍に成りましたと下を向いて身を恥れば、阿関は頭(つむり)の先より爪先(つまさき)まで眺めていゑいゑ私だとて往来で行逢(いきあ)ふた位ではよもや貴君(あなた)と気は付きますまい、唯(たつ)た今の先までも知らぬ他人の車夫(くるまや)さんとのみ思ふてゐましたに御存じないは当然(あたりまへ)、勿体(もつたい)ない事であつたれど知らぬ事なればゆるして下され、まあ何時(いつ)からこんな業(こと)して、よくそのか弱い身に障りもしませぬか、伯母さんが田舎へ引取られてお出(いで)なされて、小川町(をがはまち)のお店(みせ)をお廃(や)めなされたといふ噂(うわさ)は他処(よそ)ながら聞いてもゐましたれど、私も昔しの身でなければ種々(いろいろ)と障る事があつてな、お尋ね申すは更なること手紙あげる事も成ませんかつた、今は何処に家を持つて、お内儀(かみ)さんも御健勝(おまめ)か、小児(ちツさい)のも出来てか、今も私は折ふし小川町の勧工場(くわんこうば)見物(み)に行(ゆき)まする度々(たびたび)、旧(もと)のお店がそつくりそのまま同じ烟草店(たばこみせ)の能登(のと)やといふに成つてゐまするを、何時通つても覗(のぞ)かれて、ああ高坂(かうさか)の録(ろく)さんが子供であつたころ、学校の行返(ゆきもど)りに寄つては巻烟草のこぼれを貰ふて、生意気らしう吸立てた物なれど、今は何処に何をして、気の優しい方なればこんなむづかしい世にどのやうの世渡りをしてお出(いで)ならうか、それも心にかかりまして、実家へ行く度に御様子を、もし知つてもゐるかと聞いては見まするけれど、猿楽町(さるがくてう)を離れたのは今で五年の前、根つからお便りを聞く縁がなく、どんなにお懐(なつか)しう御座んしたらうと我身のほどをも忘れて問ひかくれば、男は流れる汗を手拭にぬぐふて、お恥かしい身に落まして今は家(うち)と言ふ物も御座りませぬ、寐処は浅草町の安宿、村田といふが二階に転がつて、気に向ひた時は今夜のやうに遅くまで挽く事もありまするし、厭やと思へば日がな一日ごろごろとして烟(けぶり)のやうに暮してゐまする、貴嬢(あなた)は相変らずの美くしさ、奥様にお成りなされたと聞いた時からそれでも一度は拝む事が出来るか、一生の内に又お言葉を交はす事が出来るかと夢のやうに願ふてゐました、今日までは入用(いりよう)のない命と捨て物に取あつかふてゐましたけれど命があればこその御対面、ああ宜く私(わたくし)を高坂の録之助(ろくのすけ)と覚えてゐて下さりました、辱(かたじけ)なう御座りますと下を向くに、阿関はさめざめとして誰れも憂き世に一人と思ふて下さるな...   下さやけき月に風のおと添ひて、虫の音たえだえに物がなしき上野へ入りてよりまだ一町もやうやうと思ふに、いかにしたるか車夫はぴつたりと轅を止めて、誠に申かねましたが私はこれで御免を願ひます、代は入りませぬからお下りなすつてと突然にいはれて、思ひもかけぬ事なれば阿関は胸をどつきりとさせて、あれお前そんな事を言つては困るではないか、少し急ぎの事でもあり増しは上げやうほどに骨を折つておくれ、こんな淋しい処では代りの車も有るまいではないか、それはお前人困らせといふ物、愚図らずに行つておくれと少しふるへて頼むやうに言へば、増しが欲しいと言ふのでは有ませぬ、私からお願ひですどうぞお下りなすつて、もう引くのが厭やに成つたので御座りますと言ふに、それではお前加減でも悪るいか、まあどうしたと言ふ訳、此処まで挽いて来て厭やに成つたでは済むまいがねと声に力を入れて車夫を叱れば、御免なさいまし、もうどうでも厭やに成つたのですからとて提燈を持しまま不図脇へのがれて、お前は我ままの車夫さんだね、それならば約定の処までとは言ひませぬ、代りのある処まで行つてくれればそれでよし、代はやるほどに何処か処らまで、切めて広小路までは行つておくれと優しい声にすかす様にいへば、なるほど若いお方ではありこの淋しい処へおろされては定めしお困りなさりませう、これは私が悪う御座りました、ではお乗せ申ませう、お供を致しませう、さぞお驚きなさりましたろうとて悪者らしくもなく提燈を持かゆるに、お関もはじめて胸をなで、心丈夫に車夫の顔を見れば二十五六の色黒く、小男の痩せぎす、あ、月に背けたあの顔が誰れやらで有つた、誰れやらに似てゐると人の名も咽元まで転がりながら、もしやお前さんはと我知らず声をかけるに、ゑ、と驚いて振あふぐ男、あれお前さんはあのお方では無いか、私をよもやお忘れはなさるまいと車より濘るやうに下りてつくづくと打まもれば、貴嬢は斎藤の阿関さん、面目も無いこんな姿で、背後に目が無ければ何の気もつかずにいました、それでも音声にも心づくべき筈なるに、私は余程の鈍に成りましたと下を向いて身を恥れば、阿関は頭の先より爪先まで眺めていゑいゑ私だとて往来で行逢ふた位ではよもや貴君と気は付きますまい、唯た今の先までも知らぬ他人の車夫さんとのみ思ふてゐましたに御存じないは当然、勿体ない事であつたれど知らぬ事なればゆるして下され、まあ何時からこんな業して、よくそのか弱い身に障りもしませぬか、伯母さんが田舎へ引取られてお出なされて、小川町のお店をお廃めなされたといふ噂は他処ながら聞いてもゐましたれど、私も昔しの身でなければ種々と障る事があつてな、お尋ね申すは更なること手紙あげる事も成ませんかつた、今は何処に家を持つて、お内儀さんも御健勝か、小児のも出来てか、今も私は折ふし小川町の勧工場見物に行まする度々、旧のお店がそつくりそのまま同じ烟草店の能登やといふに成つてゐまするを、何時通つても覗かれて、ああ高坂の録さんが子供であつたころ、学校の行返りに寄つては巻烟草のこぼれを貰ふて、生意気らしう吸立てた物なれど、今は何処に何をして、気の優しい方なればこんなむづかしい世にどのやうの世渡りをしてお出ならうか、それも心にかかりまして、実家へ行く度に御様子を、もし知つてもゐるかと聞いては見まするけれど、猿楽町を離れたのは今で五年の前、根つからお便りを聞く縁がなく、どんなにお懐しう御座んしたらうと我身のほどをも忘れて問ひかくれば、男は流れる汗を手拭にぬぐふて、お恥かしい身に落まして今は家と言ふ物も御座りませぬ、寐処は浅草町の安宿、村田といふが二階に転がつて、気に向ひた時は今夜のやうに遅くまで挽く事もありまするし、厭やと思へば日がな一日ごろごろとして烟のやうに暮してゐまする、貴嬢は相変らずの美くしさ、奥様にお成りなされたと聞いた時からそれでも一度は拝む事が出来るか、一生の内に又お言葉を交はす事が出来るかと夢のやうに願ふてゐました、今日までは入用のない命と捨て物に取あつかふてゐましたけれど命があればこその御対面、ああ宜く私を高坂の録之助と覚えてゐて下さりました、辱なう御座りますと下を向くに、阿関はさめざめとして誰れも憂き世に一人と思ふて下さるなの読み方
樋口一葉 「十三夜」

...下さやけき月に風のおと添ひて、虫の音たえ/″\に物がなしき上野へ入りてよりまだ一町もやう/\と思ふに、いかにしたるか車夫はぴつたりと轅(かぢ)を止めて、誠に申かねましたが私はこれで御免を願ひます、代は入りませぬからお下りなすつてと突然(だしぬけ)にいはれて、思ひもかけぬ事なれば阿關は胸をどつきりとさせて、あれお前そんな事を言つては困るではないか、少し急ぎの事でもあり増しは上げやうほどに骨を折つてお呉れ、こんな淋しい處では代りの車も有るまいではないか、それはお前人困らせといふ物、愚圖らずに行つてお呉れと少しふるへて頼むやうに言へば、増しが欲しいと言ふのでは有ませぬ、私からお願ひです何うぞお下りなすつて、最う引くのが厭やに成つたので御座りますと言ふに、夫ではお前加減でも惡るいか、まあ何うしたといふ譯、此處まで挽(ひ)いて來て厭やに成つたでは濟むまいがねと聲に力を入れて車夫を叱れば、御免なさいまし、もう何うでも厭やに成つたのですからとて提燈を持しまゝ不圖脇へのかれて、お前は我まゝの車夫(くるまや)さんだね、夫ならば約定(きめ)の處までとは言ひませぬ、代りのある處まで行つて呉れゝば夫でよし、代はやるほどに何處か邊(そこ)らまで、切めて廣小路までは行つてお呉れと優しい聲にすかす樣にいへば、成るほど若いお方ではあり此淋しい處へおろされては定めしお困りなさりませう、これは私が惡う御座りました、ではお乘せ申ませう、お供を致しませう、嘸お驚きなさりましたろうとて惡者(わる)らしくもなく提燈を持かゆるに、お關もはじめて胸をなで、心丈夫に車夫の顏を見れば二十五六の色黒く、小男の痩せぎす、あ、月に背けたあの顏が誰れやらで有つた、誰れやらに似て居ると人の名も咽元まで轉がりながら、もしやお前さんはと我知らず聲をかけるに、ゑ、と驚いて振あふぐ男、あれお前さんは彼のお方では無いか、私をよもやお忘れはなさるまいと車より濘(すべ)るやうに下りてつく/″\と打まもれば、貴孃(あなた)は齋藤の阿關さん、面目も無い此樣(こん)な姿(なり)で、背後(うしろ)に目が無ければ何の氣もつかずに居ました、夫れでも音聲(ものごゑ)にも心づくべき筈なるに、私は餘程の鈍に成りましたと下を向いて身を恥れば、阿關は頭(つむり)の先より爪先まで眺めていゑ/\私だとて往來で行逢ふた位ではよもや貴君と氣は付きますまい、唯た今の先まで知らぬ他人の車夫さんとのみ思ふて居ましたに御存じないは當然(あたりまへ)、勿體ない事であつたれど知らぬ事なればゆるして下され、まあ何時から此樣な業(こと)して、よく其か弱い身に障りもしませぬか、伯母さんが田舍へ引取られてお出なされて、小川町(をがはまち)のお店をお廢めなされたといふ噂は他處(よそ)ながら聞いても居ましたれど、私も昔しの身でなければ種々(いろ/\)と障る事があつてな、お尋ね申すは更なること手紙あげる事も成ませんかつた、今は何處に家を持つて、お内儀さんも御健勝(おまめ)か、小兒(ちツさい)のも出來てか、今も私は折ふし小川町の勸工場見物(み)に行まする度々、舊のお店がそつくり其儘同じ烟草店の能登(のと)やといふに成つて居まするを、何時通つても覗かれて、あゝ高坂(かうさか)の録(ろく)さんが子供であつたころ、學校の行返(ゆきもど)りに寄つては卷烟草のこぼれを貰ふて、生意氣らしう吸立てた物なれど今は何處に何をして、氣の優しい方なれば此樣な六づかしい世に何のやうの世渡りをしてお出ならうか、夫れも心にかゝりまして、實家へ行く度に御樣子を、もし知つても居るかと聞いては見まするけれど、猿樂町を離れたのは今で五年の前、根つからお便りを聞く縁がなく、何んなにお懷しう御座んしたらうと我身のほどをも忘れて問ひかくれば、男は流れる汗を手拭にぬぐふて、お恥かしい身に落まして今は家と言ふ物も御座りませぬ、寢處は淺草町の安宿、村田といふが二階に轉がつて、氣に向ひた時は今夜のやうに遲くまで挽く事もありまするし、厭やと思へば日がな一日ごろ/\として烟のやうに暮して居まする、貴孃(あなた)は相變らずの美くしさ、奧樣にお成りなされたと聞いた時から夫でも一度は拜む事が出來るか、一生の内に又お言葉を交はす事が出來るかと夢のやうに願ふて居ました、今日までは入用のない命と捨て物に取あつかふて居ましたけれど命があればこその御對面、あゝ宜く私を高坂の録之助と覺えて居て下さりました、辱(かたじけ)なう御座りますと下を向くに、阿關はさめ/″\として誰れも憂き世に一人と思ふて下さるな...   下さやけき月に風のおと添ひて、虫の音たえ/″\に物がなしき上野へ入りてよりまだ一町もやう/\と思ふに、いかにしたるか車夫はぴつたりと轅を止めて、誠に申かねましたが私はこれで御免を願ひます、代は入りませぬからお下りなすつてと突然にいはれて、思ひもかけぬ事なれば阿關は胸をどつきりとさせて、あれお前そんな事を言つては困るではないか、少し急ぎの事でもあり増しは上げやうほどに骨を折つてお呉れ、こんな淋しい處では代りの車も有るまいではないか、それはお前人困らせといふ物、愚圖らずに行つてお呉れと少しふるへて頼むやうに言へば、増しが欲しいと言ふのでは有ませぬ、私からお願ひです何うぞお下りなすつて、最う引くのが厭やに成つたので御座りますと言ふに、夫ではお前加減でも惡るいか、まあ何うしたといふ譯、此處まで挽いて來て厭やに成つたでは濟むまいがねと聲に力を入れて車夫を叱れば、御免なさいまし、もう何うでも厭やに成つたのですからとて提燈を持しまゝ不圖脇へのかれて、お前は我まゝの車夫さんだね、夫ならば約定の處までとは言ひませぬ、代りのある處まで行つて呉れゝば夫でよし、代はやるほどに何處か邊らまで、切めて廣小路までは行つてお呉れと優しい聲にすかす樣にいへば、成るほど若いお方ではあり此淋しい處へおろされては定めしお困りなさりませう、これは私が惡う御座りました、ではお乘せ申ませう、お供を致しませう、嘸お驚きなさりましたろうとて惡者らしくもなく提燈を持かゆるに、お關もはじめて胸をなで、心丈夫に車夫の顏を見れば二十五六の色黒く、小男の痩せぎす、あ、月に背けたあの顏が誰れやらで有つた、誰れやらに似て居ると人の名も咽元まで轉がりながら、もしやお前さんはと我知らず聲をかけるに、ゑ、と驚いて振あふぐ男、あれお前さんは彼のお方では無いか、私をよもやお忘れはなさるまいと車より濘るやうに下りてつく/″\と打まもれば、貴孃は齋藤の阿關さん、面目も無い此樣な姿で、背後に目が無ければ何の氣もつかずに居ました、夫れでも音聲にも心づくべき筈なるに、私は餘程の鈍に成りましたと下を向いて身を恥れば、阿關は頭の先より爪先まで眺めていゑ/\私だとて往來で行逢ふた位ではよもや貴君と氣は付きますまい、唯た今の先まで知らぬ他人の車夫さんとのみ思ふて居ましたに御存じないは當然、勿體ない事であつたれど知らぬ事なればゆるして下され、まあ何時から此樣な業して、よく其か弱い身に障りもしませぬか、伯母さんが田舍へ引取られてお出なされて、小川町のお店をお廢めなされたといふ噂は他處ながら聞いても居ましたれど、私も昔しの身でなければ種々と障る事があつてな、お尋ね申すは更なること手紙あげる事も成ませんかつた、今は何處に家を持つて、お内儀さんも御健勝か、小兒のも出來てか、今も私は折ふし小川町の勸工場見物に行まする度々、舊のお店がそつくり其儘同じ烟草店の能登やといふに成つて居まするを、何時通つても覗かれて、あゝ高坂の録さんが子供であつたころ、學校の行返りに寄つては卷烟草のこぼれを貰ふて、生意氣らしう吸立てた物なれど今は何處に何をして、氣の優しい方なれば此樣な六づかしい世に何のやうの世渡りをしてお出ならうか、夫れも心にかゝりまして、實家へ行く度に御樣子を、もし知つても居るかと聞いては見まするけれど、猿樂町を離れたのは今で五年の前、根つからお便りを聞く縁がなく、何んなにお懷しう御座んしたらうと我身のほどをも忘れて問ひかくれば、男は流れる汗を手拭にぬぐふて、お恥かしい身に落まして今は家と言ふ物も御座りませぬ、寢處は淺草町の安宿、村田といふが二階に轉がつて、氣に向ひた時は今夜のやうに遲くまで挽く事もありまするし、厭やと思へば日がな一日ごろ/\として烟のやうに暮して居まする、貴孃は相變らずの美くしさ、奧樣にお成りなされたと聞いた時から夫でも一度は拜む事が出來るか、一生の内に又お言葉を交はす事が出來るかと夢のやうに願ふて居ました、今日までは入用のない命と捨て物に取あつかふて居ましたけれど命があればこその御對面、あゝ宜く私を高坂の録之助と覺えて居て下さりました、辱なう御座りますと下を向くに、阿關はさめ/″\として誰れも憂き世に一人と思ふて下さるなの読み方
樋口一葉 「十三夜」

...御免なさいよとて三味線(さみせん)を置いて立つに...   御免なさいよとて三味線を置いて立つにの読み方
樋口一葉 「にごりえ」

...(こんなことを考へてゝ御免なさい...   (こんなことを考へてゝ御免なさいの読み方
ブロンテイ 十一谷義三郎訳 「ジエィン・エア」

...御免なさいのこえを聞き...   御免なさいのこえを聞きの読み方
三宅花圃 「藪の鶯」

...本当に御免なさい...   本当に御免なさいの読み方
宮本百合子 「獄中への手紙」

...御免なさい...   御免なさいの読み方
宮本百合子 「獄中への手紙」

...しかも落付かなげに書いていて御免なさい...   しかも落付かなげに書いていて御免なさいの読み方
宮本百合子 「獄中への手紙」

...きけずにいるので御返事出来ず御免なさい...   きけずにいるので御返事出来ず御免なさいの読み方
宮本百合子 「獄中への手紙」

...11350御免なさい...   11350御免なさいの読み方
Johann Wolfgang von Goethe 森鴎外訳 「ファウスト」

...御免なさい...   御免なさいの読み方
横光利一 「上海」

「御免なさい」の読みかた

「御免なさい」の書き方・書き順

いろんなフォントで「御免なさい」


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